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□気付いてた?実はあたし、ずるい女なんだよ
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愛を囁く政宗の唇にキスをする。絡み付くように欲情を煽って。深夜1時の政宗の部屋は性の匂いで潰されそうになる。挑発するような笑み。ギラついた目。私を見上げる政宗。
「もう限界だ、honey」
「また?」
耳を舐めて掠れた声でyes――。“s"がいつもより長く伸ばされた気がした。艶っぽい。
「私ね、――溺れてるよ」
「当然だろ」
敢えて主語を言わない私に政宗は気付かない。余裕がないらしい。好き勝手身体を触る。昨日の夜全く違う手つきで私をまさぐったオレンジの髪をぼんやり思い出す。彼は何度も私に愛してると言った。それを思い出し口先だけで、私も、と動かしてみた。
「おい、よそ見すんな。何考えてる?」
「――政宗、愛してる」
「そんなのme tooに決まってんだ…ろッ!」
熱い政宗のが突然入り、私の思考は停止した。喘ぐ声は薄暗い部屋に立ち上り掻き消される。いつもより激しく動く政宗はなんだか必死だった。そっか。もう気付かれてたんだ。
気付いてた?実はあたし、ずるい女なんだよ
あなたは私の瞳に自分が映らないことを知っている。それでも私に騙されたふりをしていた。
END