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□夢よりあまい
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冬休みは幸村と家でゲームをしたり、本を読んだりしてダラダラ過ごすのが私の幸せ。窓から差し込む太陽の光がいつもより高くてなんだか私達は別世界にいる気分。気分だけならなんとでも言えるからこう言おうかな。私は今、天国にいる。




「ゆっきー、コーヒー飲む?」

「おお!かたじけない!」

「あとお団子もね?何本食べる?」

「某、お腹が減っている故、50本頼むでござる!」

「私を破綻させる気?たかが団子で借金なんか背負いたくありませーん。」

「むっ。たかがとは失礼な!」




幸村とクスクス笑って私は毛布に包まれながらマグカップを手に取り、コーヒーメーカーから抽出された液体をゆっくり注ぐ。砂糖とミルクは多めに入れて、色違いのマグカップに同じ色の液体が揺れる。




「ミルクと砂糖はご自由にね。」

「いや、名無しさんが作るコーヒーが一番でござるよ!」

「そう?ありがとう。」




幸村の隣のまだ温もりが残るソファーに座り、コーヒーを手渡すと少し冷たい親指が触れた。ああ、ゆっきーは寒いんだな、とぼんやり目が眩むような心地で考えていると、ふいに首筋がヒンヤリとした。その正体は視界で捉えるよりも先に感覚でわかった。ああ、ゆっきーの指先だ。




「寒いの?」

「そう…でござるな。」

「こっちおいで。」




そう言いつつもお尻をずらして肩がぴったりと触れ合う距離に自ら行き、幸村に毛布を被せる。しかし毛布は一人用の大きさで、お互い毛布から肩がはみ出ている。触れ合っている側はお互いの体温と毛布で暖かいが、片側は寒いまま。




「ふふふ。半分寒くて暖かくて変な感じ。」

「そうでござるな。……ならば…」




そう言って幸村は私の腰に手を回して自分自身に引き寄せた。少し筋肉質な腕によって、すっぽりと幸村の胸の中に収まった私はいつの間にか女の子の扱いに手慣れてしまった恋人に赤面する。昔は彼の“破廉恥!!”という言葉に頭を悩ませていたのに。




「これならどうでござる?」

「うん、暖かいよ。それに………幸せ。」

「ああ、某もだ……。名無しさん…。」

「ん?」

「今日は冷えるでござる。……その……このまま一緒に寝ないか?」




顔を真っ赤にして真剣に言う彼はやっぱり昔と変わらないな、なんて思ってつい笑ってしまう。私は恥ずかしさよりも嬉しさが勝り、ゆっくりと首を縦にふった。ちゅ。ふいを突いて唇に降らされたキス。これは私だけのもの。














夢よりあまい







そんな現実があるんだなんて、私、きっと貴方と巡り逢わなかったら知らなかったよ。





End


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