他版権物
□藻う芝らくお待ち下さい。
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「ゾロってさ。人を好きになったことある?」
「そりゃあ人並みにはあるぜ」
「嘘……頭に藻が生えてるのに!?」
「てめェ、今すぐたたっ斬ってやろうか!!」
まだ脳にまで根が張ってなかったのね、安堵してホッと息を吐くと、カチッとゾロが刀に手をかけた。どうしたんだろう。まさか敵!?もしや近くに海賊狩りが!?って目の前にいる奴もそうじゃん。
「早くゾロ!!斬るんなら早く斬りなさい!!」
「お前、正気かっ!!」
「ええ、至って正常……いや、天才よ!!」
「黙れよ!!(アホのくせにっ)」
「斬るべき敵はすぐそこにいるんでしょうが!!早く斬って!!」
「…………いいのか?(斬っていいのか!?)」
「当然でしょ!!」
「………じゃあ、遠慮なくいくぜ!!」
あれ、ゾロが私に向かって突進してくる。まさか背後に海賊が?!と、振り返ってみたが敵が見当たらない。ええっ、何処にいるの?そう考えてる間にも刀を抜いたゾロが此処に向かって近づく。もしかして………私!?
「お前のことは忘れねェぜ!!」
「え、ちょまええええええっ!!?」
「やめてーーーーっっっっっ!!!!」
「おわっ?!!」
ガバッと起き上がるといつもの見慣れた寝室。え?何?まだ動悸が激しい。パニックになった頭を必死に回転させる。
「なんだっ!?どうしたっ!!」
「うあ、ゾロ!!」
「具合悪いのか!?」
「いやあああああっ!!ち、近寄らないでっ!!」
「おい!?名無しさんっ!!しっかりしろっ!!」
「きゃーーーっ!!離してっ!!」
頭に藻が生えた剣士に殺されるわあっ!!泣きじゃくる名無しさんを宥めようと、ゾロは抱き寄せて落ち着くのを待った。寒くないようベットにあった白いシーツをかけてやる。が、逃げようと藻掻く名無しさんに幾度となくに腹や胸を叩かれる。しかしゾロにとっては只の悪足掻きでしかない。
「おい、どうした?」
「…………」
「変なもんでも食ったのか?」
「…………」
「名無しさんー?」
「…う………ゾロ…?」
ゆっくりと顔を上げ上目使いで俺を見る名無しさんはうるうるした瞳で今にも滴が落ちそうだ。
「ほんとに……ゾロ…?」
不安気な顔で聞くので安心させようと少しだけ笑ってみせた。自分から意識的に笑うことは苦手だから般若のような顔をしている可能性が大。いや現在進行形でしてるはずだ。
「……よかったぁ本物のゾロだ(夢でよかった)」
安心しきった顔をする名無しさんは可笑しそうに笑う。
「もうゾロの髪を“藻”なんて言わない……」
「も?」
「なっ、なんでもないっ!!」
「おい待てコラァ!!今すぐ言えやあああっ!!」
藻う芝らくお待ち下さい。
End
ゾロやばいよね。もう生き様というか全て全て愛してる。年中迷子は色んな意味で私も同じ。
20110331
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