戦国 BASARA
□裏側脳髄までも
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廊下はもの音一つもせず、閑散としている。
だが、それを破る。
保健室の辺りから声が洩れている。
『ちょっ…やめて……やめて下さい!』
「ククク…楽しいですね…」
『明智先生…!!』
「クハハハ…どうしたのですか、名無しさんさん…?」
『消毒液をそんな執拗に付けないで下さい!!』
「なぜです?わたしは貴方のために傷口を手当しているというのに」
『しみますよ!!何分やってるんですか!』
「おや…、もうそんな時間でしたか。それではさあ、メインディッシュです」
楽しそうに笑う明智先生に、「メインディッシュって何を食べる気ですか。」というツッコミは心の中に葬った。
そして心中で確信した、絶対的な絶望感。
………嗚呼なるほど、わたしは死ぬのか。
――数十分前―
体育の授業中にわたしは運悪く膝を切ってしまった。
たいしたことはなかったけど、この際保健室でサボるのもいいかと思って先生に報告して保健室へ行った。
-コンコン-
「失礼しま-す…。明智センセー?」
「おやおや…名無しさん…。どうしました?」
扉を開けると明智先生は人体模型をうっとりした目で見ていた。
心なしか頬が赤らんでいた気がするが、多分きのせいだろう。うん。
「体育で怪我しちゃいました-…」
「ククク。そうですか…それではこちらへいらっしゃっって下さい」
わたしは明智先生の近くに置いてある椅子に座った。そして足を台にのせて膝小僧を差し出した。
「これは痛そうですね…皮が剥けていますよ?」
「うぅ…お願いします」
「はいはい。些か滲みるかもしれませんが」
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