ぶん

□正反対な僕ら
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侑士がたばこを吸ってると知ったのは二ヶ月前。


大学に入って少したったくらいだった。学科が違うのでなかなか大学で会うこと
が無かったのだがその日は珍しく授業の終わる時間が一緒だった。


そのまま一緒に住む家へと帰ったのだが、その途中で侑士がたばこを吸う姿をは
じめて見たのだ。


話によれば吸いはじめたのは最近らしく、自分はすわないのかと聞かれたが、た
ばこ独特の匂いと健康を損なう作用があることから俺はあまりたばこが好きでは
なかった。


侑士も高校まではテニスをしていたので、興味はあったが吸わなかったという。


あいつのことだから、俺の負担になることはしなかったんだと思う。


現に今だってそう。はじめてみたその日以来俺は侑士がたばこを吸ってる姿は見
たことがない。


前つけていた俺の好きだった香水も今は匂いのきつい甘ったるいにおいのする香
水に変わった。


ほかの奴には気なんて全然使わないくせに俺のことになると気の使い方が半端じ
ゃないとかよく宍戸に言われていたことを思い出す。


あのころはそんなこと思わなかったけど確かに今思えば気持ち悪いくらい気を使
っていたかも。


そんな侑士もその日は珍しく、俺が寝てると思ったのか部屋でたばこを吸ってい
た。


俺もいつもは寝ている時間だったのだがその日は眠りが浅く、ほのかにかおる香
水とたばことが混ざる不思議な匂いで目が覚めた。


「ゆーし。おはよ。」


布団をかぶったまま、ベットに腰掛け、たばこを吸う侑士に声をかける。


「あれっ岳人起きてたん?ゆうてくれたらよかったんに。たばこ消すわ。」


そういい、まだ吸いはじめたばかりで長いたばこを消しにいこうと立ち上がる侑
士の服の裾を引っ張った。


「いいよ、別に。消さなくて。」


「ええんか?岳、この匂いいややないんか?」


「うん、やだ。ついでに言うとお前のつけてる匂いのきつい香水もイヤだ。」


なにも言えずに苦笑いをする侑士を後ろから抱きしめながら話を続ける。


「でも、甘すぎるにおいもたばこの匂いもさ、混ざれば案外イヤじゃねぇんだよ
な。正反対みたいな匂いなのに混ざったら平気みたい。」


それを聞けば俺の腕をつかみながら俺の正面に向きなおり、「俺らみたいやな。
」 とにこりと笑う侑士。


「がっくんも俺もまったく似てへんし正反対やけど、中高ってタブルスくんでき
たやん?せやからなんか俺らみたいやん。」


「侑士きもっ。ラブロマの見すぎじゃね?」


俯きながらそう答える。だってそうしないとこいつに顔が赤いってばれるから。


「なんや、岳人はひどいなぁー。でも・・・」


そういいかけ、俺の前髪を少しあげ俯いたままでもキスができる額にキスをする



「顔赤いってことは期待してええんか?」


正反対な僕ら


「うるせー!!くそくそ侑士!!んだよ、てめーは(バシッ)」


「ちょっがっくんたたかんといてーな。痛いがな。」

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