ぶん

□今度は決勝戦で
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四年に一度の大舞台W杯

各国のよりすぐりの選手で構成された国内最強のサッカーチームをつくり、各年
ごとの開催地で優勝した国のみが手にすることのできる優勝カップをめぐって戦
う国際的なイベント。


当然国である私たちもそのイベントは重要で、その年になると開催地まで行って
試合を観覧する。


国際的なイベントのため当然あまり交流のない国や会うときまずい国ともあうた
め少し気まずかったりする。


特に戦った国が会いたくない国だとすごく気まずい。


今回運悪く私はその会いたくなかった国と戦うことになってしまった。


その相手はオランダさん。彼とは仮にも恋人同士という間柄で、そこまでは別に
気まずくはない。大切な相手だからと言って手加減なんてしないしそれは多分あ
いても同じだろう。


ではなにが気まずいのかというと・・・


私は今彼と喧嘩している最中なのだ。
まぁ正しくは喧嘩してお互い謝らない状態が続いてるということなのだが。


喧嘩なんて滅多にしたことがなくどう謝ればよいかわからず、ついに試合の日が
来てしまった。


何人かのサポーターに囲まれ日本の側のベンチに座る。


オランダ側のベンチを見ると、そこにはやはりオランダさんがいるわけで・・・
。どうしようなんて考えているうちに試合は始まってしまう。


お互い一歩も引かない攻防の繰り返しだったが、結局1対0で試合には負けてし
まった。


試合が終わり選手たちがミーティング等のため会場をあとにした後オランダさん
が私を呼び止めた。


「おい、日本」


「オ・・・ランダさん・・・。」


気まずいがそんなのを顔に出すわけにもいかず、とりあえず返事を返す。すると
、オランダさんが手を出す。急にそんなことをされたので、どうしてよいかわか
らず質問する。


「えっと・・・これは・・・なんでしょうか?」


「・・・握手じゃ。」


と恥ずかしそうに頭をかきながら言う。そんな姿を見て、さっまでの気まずさも
どうでもよくなり出された手を握る。


「いい試合じゃった・・・。」


「はい・・・本当にいい試合でした。」


そう言いお互いの顔を見つめあう。今まで喧嘩していたなんて私ら以外の方たち
が聞いたらどれだけの人が信じるんだろう。そんなことを考えているとオランダ
さんは、私の頬に手を添え優しく唇にキスをする。


「その・・・こないだはすまんかった。言い過ぎた。」


「いえ、こちらこそ。大人げないことをしてしまいすみません。」


「まぁお互い様ちゅーことで。」


「ふふっそうですね。」

今度は決勝戦で


「勝ち進めよ。お前のこと待っとるから。」


「当たり前です。負けるのはこの一回きりですから。」


end

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