ぶん

□二人で一つの夢だから
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「そういえば日本決勝トーナメント出場だな。」


「そうですね。試合なんかを見てると色々学ぶところもありますし。」


サッカーの話で盛りあがる車内。
今はいつもの如く岩城に送ってもらっている最中。


「10年後には俺もあの舞台に立って岩城ちゃんに恩返ししなきゃな。」


唐突に言われた荒木のことばにびっくりする岩城。


「恩返しって…どうしたんですか急に…」


そう言葉を返せば少し頬をムッと膨らませ、


「なんだよ、柄じゃねぇとか思ってんのかよ。岩城ちゃんも」


と不機嫌そうに話す。


「いっいえ…なんかこうびっくりしたっていうか…というかもって…?」


すると、むっとした顔のまま話始める。


「マコにも言ったんだよ。俺がW杯に岩城ちゃん連れてってやるんだって。そし
たら笑われた。」


それを聞いた岩城も思わず笑ってしまう。


それを見た荒木はさらに不機嫌そうな顔をし「岩城ちゃんも笑うのかよ…」と呟
く。


「いえ…確かに珍しいですけどなんか嬉しくて。」


そう岩城が微笑むと嬉しかったのか少し照れながら「珍しいは余計だけどな…」
と皮肉を交えながら言う。


「荒木くん…」


そう急に荒木の名前を呼び車を止める。そして、真剣な顔をして荒木を見つめる
岩城。


「なっなに…?」


「僕の代わりに…10番背負ってくださいね…。君は僕の夢なんですから…」


そういわれると荒木はニィっと笑みを浮かべ「あったりまえだろ。」と答える。


そして、自分の方を見つめる岩城に触れるだけのキスをし言葉を発する。


「岩城ちゃんだけの夢じゃねぇ。俺の夢でもあるんだよ。それを実現させねぇわ
けないだろ。まかせとけよ、てっぺい」


「ほんとに君は…」


「君じゃなくて竜一!!」


荒木がそういうと岩城はふぅとため息をしクスっと笑いながら返事をする。


「しょうがないお姫様ですね…竜一くんは…」


そういってお互いの唇を重ねあわせる。


二人で一つの夢だから

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