エリア2
□この恋、きみ色
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帰り道。人通りの少ない細道に入り、誰もいないことを確認。今日こそはと決意して早1ヶ月。今度こそと思い、決死の覚悟で告白したのが昨日。
『好きです。飛鳥さんが。』
『ああ』
『付き合ってくれませんか・・・?』
『ああ』
『えっ・・・』
『なに?』
『つつ付き合ってくれるんスか?』
『・・・?(首を縦に振る)』
まさかこんなにあっさりとつきあえるとは思わなかった。正直いった自分が一番びっくりしていると思う。
そのあとびっくりしたのと嬉しさがいっぺんに来て大変なことになりつつ半ば混乱状態の俺の頭を撫でながら「明日暇か?」なんて聞かれたら、何が何でも「暇です」と答えるしかなくて。
そして、付き合った次の日(いわゆる今日なわけだが)におうちデート?が決行された。
そんな俺は今、飛鳥さんの家の前にいる。とは言っても寮なので、部屋の前といったほうが正しいのだが。
とりあえず、緊張しながらも携帯で飛鳥さんに来たことをつたえる。
ドアの向こうからメールの着信音のような音がした後、ドアが開く。
「暑かったろ。御苦労さま。入っていいぞ。」
そう言って柔和な笑みを浮かべる飛鳥さん。その笑顔に見とれつつ「はい」と返事をし、部屋の中へと入る。
別に飛鳥さんの部屋に来るのは初めてじゃないし、何度も来たことあるけど付き合ってるってだけでいつも以上に緊張してしまう。
「冷たいもの飲むか?お茶とスポーツドリンクしかないけど。」
部屋の隅に荷物を置き、ベッドの前あたりに腰をかけると飛鳥さんからの質問。
「はい」
当たり前な質問にすら緊張しながらも返事をする。
「どっち飲む?」
「えと・・・お茶で。」
「わかった。」
冷蔵庫からお茶を取り出してそそぐ音がする。そんな音を聞きながら、必死に落ち着こうとしていると聞きなれた声が自分を呼ぶ。
「おにまる」
「はっ・・・・い」
一瞬何が起きたのかわからなかった。名前をよばれ、飛鳥さんのほうを向けばそこにはもう彼の顔があって。そして唇と唇が触れあった。どうやら俺は飛鳥さんにキスされたらしい。
「おまえ意識しすぎだぞ。」
この恋、きみ色
キスされてこんなに嬉しくて、泣きそうになるなんて
どうやら俺はもうすっかりあなたいろに染まっているようです。
end
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