ぶん
□意地悪だけはホントの話
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いつも通り、部活が終わり家まで岩城ちゃんに送って行ってもらっている途中突然
「お菓子食べたくないですか?」
なんてきかなくてもわかるような質問をする。
「食いたいに決まってんだろ?なに食ってもいいの?」
俺がそう期待に満ち溢れた声で聞くと、岩城ちゃんは満面の笑みで、
「はい。いいですよ。」
と答える。
「じゃぁさぁ、近くのコンビニよってもらってもいい?」
「だめです。」
「なんでだよ。さっきおかしくっていーって言ったじゃん。」
「荒木君今日何の日か覚えてます?」
「えっ・・・?4月1日だろ・・・あっ」
「エイプリルフールですよ。だから今のは全部嘘。」
「っんだよっ!!岩城ちゃんの意地悪!!そんな岩城ちゃんは俺嫌いだから!!」
俺がそう不満を漏らすと、岩城ちゃんは急に車を止め、俺の顔に自分の顔を近づける。
「そう言われるとうれしいですよ。荒木君。」
「へ?何言って・・・」
そう俺が言葉が言い終わらないうちに、岩城ちゃんは俺の口をふさぐ。
いつも通りの甘いキスだけど、俺の頭はキスには全然集中できなくて。
さっき岩城ちゃんが言った言葉の意味を必死になって考えていた。
岩城ちゃんが俺に嫌いとか意地悪とか言ってんのになんで笑って嬉しいとか言ってんだろ。まさかドM?じゃなかったら・・・あっそういえば・・・。
俺は岩城ちゃんが俺に嬉しいといった理由がわかり自分で言ったことなのにもかかわらず凄くはずかしくなった。
俺が顔を真っ赤にしていることに気付いたのか岩城ちゃんは自分の唇を俺から離し、「どうしましたか?」とまた満面の笑みで質問する。
「岩城ちゃんの馬鹿っ!!」
そう言って俺は岩城ちゃんの体を押す。
ホントはもっと言ってやりたかったんだけどまた上げ足を取られるのも嫌なのでそれだけ言っておいた。
意地悪だけはホントなのに。
俺は岩城ちゃんに聞こえないくらいの小さな声でつぶやいた。
end