エリア2
□ああ、こんなにも愛されていたんだ
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「一緒に墓参りいきませんか?」
駆に誘われ、部活のお盆休みを使って傑の墓参りに行った。
本当は行く気なんてなかった。傑と過ごした時間は短いが、俺にとって傑は今も
昔も大切な人だから。だから、あまりそのことを思い出したくなかった。でも駆
がどうしてもと言われたし、これを期に傑への思いを断ち切ろうと思って行った
。
駆は別の日にも家族といったようで、駆の家族はいなかった。
少し遠くにあるらしく電車をのりつぎながら目的地へと向かう。
「暑いですね。墓につく前に熱中症で倒れそう…」
「だなぁ。ホント無駄に暑くてやんなるよな。」
「なんか冷たいもの食べたいです。」
「じゃあ帰り、かき氷屋いかね?俺行きつけのとこあんだよ。」
「いいですね!!」
なんて他愛もない会話をしながら、俺はある疑問が浮かぶ。
「そういえばなんで墓参り俺誘ったんだよ?」
「えっと…今はまだ秘密です。あっ荒木さんこの駅です!!」
うまく流された感じではあったがとりあえず駅をでて墓へ向かう。
その間もその疑問についてずっと考えていた。
「荒木さんつきました。ここが兄ちゃんの墓です。」
墓にはきっちりと傑の文字が刻まれていてた。改めて傑が死んだことに向き合い
、すごく複雑な心境。なんか泣きそう…。駆いんだからおさえねぇといけねぇっ
てのに
「おう。」
そう言って必死に涙を抑えながら墓に線香をあげる。
墓の前で手を合わせ終わると駆はさっきの疑問の答えを、話はじめた。
「さっきの話なんですけど」
「ああ」
「兄ちゃんが言ったようなきがしたんです。荒木を連れてきてほしいって。」
「えっ?」
「知ってると思いますけど、兄ちゃんの心臓は今の俺の心臓です。そのせいなの
かはわからないですけど、なんかたまに兄ちゃんの声が聞こえるんですよね。」
「不思議なこともあるもんだな。」
そういうと、いきなり強い風が吹く。その風が吹いてるとき何故か傑の声が聞こ
えた。
『荒木お前の気持ちうれしいよ。でももういいよ。もう平気だから。だから早く
大切なやつを見つけて、俺に見せてくれよな。』
それを聞いたとき、涙があふれた。ああ、俺はこんなにも愛されていたんだ。駆
も一瞬驚いたような顔をしたが、そのあとは何も言わず俺の隣にいてくれた。
ああ、こんなにも愛されていたんだ
もう、大丈夫。お前が言ってたように大切なやつつれてくっから。
end
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