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□10・1
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10月1日午前0時
夜中といってもまだ明かりのつく家も多い。


しかし、朝から夜までスポーツをする自分にとっては起きているのにはきつい時間帯。


そんな時間になんでわざわざ起きているかというと、荒木がくるのを待っているのだ。


昨日の夕方ごろ電話があり、「明日の0時頃に外に出ててほしい」と言われたのだ。
友人や家族にいわれたってそんなことしないのに、そういうことをするっていうのはやっぱり荒木が特別だからで。
そんな存在のせいか大体あいつが考えていることもわかる。そして、今日何をするためにここに来るのかも。
まぁあいつが単純ってところもあるのだが。


「すぐるーっ」
そんなことを考えていると、本人が到着。
部屋着にパーカーをはおっただけの格好。少し肌寒い夜中にこんな格好では風邪をひいてしまうかもしれないと思い、家に入るよう促すが、どうやら本人は一人で来たわけではないらしい。
母が近くのドラッグストアーに買い物している間にこっちに来たのだ。


「じゃあ、早く戻らなきゃじゃ・・・」


「そいういこと。でも、ゆっくりしてていいとは言ってあるし。俺の用事もそう何分もかかんねーよ。」


そういいながらふわっと笑みを浮かべ、手に持っていた小さな箱を差し出す。


「誕生日オメデトウ。傑。」



そう言われ、荒木の持っていた小箱を受け取る。誕生日を祝うために来たのはわかっていたがプレゼントは意外だった。


「ありがとう・・・。開けてもいいか?」


「もち。つか開けてくんなきゃ意味ねーし。」


そういって早く開けるよう促す荒木。
促されるままプレゼントを開けると、そこの箱の中には小さなシルバーのキーホルダーが入っていた。


「何が良いかなんて聞けるわけねーから何が良いかわかんなくてさ。」


恥ずかしいのか少し小声で話す荒木。
嬉しくないわけがないのに。好きなやつからもらったものなら何だって嬉しいに決まってる。


「ありがとう・・・。嬉しい。すげぇ嬉しいよ・・・。」


そういってぎゅっと荒木の体に近づき抱きしめる。
薄着なため、体温や鼓動、荒木のいろんなものが感じられる。


「どういたしまして。」


そういって、抱きしめ返す荒木。
いつもならものすごい勢いで逃げるのに、今日はやけに素直。
そんなことしてたら我慢できなくなるってーのに。


「なぁ。」


「ん?」


「俺にお礼とかねーの?」


抱きつきながら上目遣いで聞いてくる荒木。



「お礼って例えば?」


なんとなくわかるけど、少し意地悪く聞いてみる。するとかおを真っ赤にしながら、俺の唇に触れるだけのキス。


「こういうこととか。」


「わかった。」そういってキスしようとした瞬間携帯がなる。


「あっかーちゃんかも。」


そういって、俺の腕をすり抜け携帯にでると、案の定荒木のお母さんだったらしくもう戻らなくてはならないとのこと。


「随分タイミングが悪いな。お母さん。」


「仕方ねーだろ。もともと無理言ってきてもらったんだし。」


「まぁそっか。」


「じゃあ・・・また・・・」


「え?」


「また・・・今度。」


そういって、ぎゅっと一回俺を抱きしめてから「じゃぁ」とだけ言い残し来た道を戻っていく。


今度なんていわれたらまた期待しちゃうのに。



end

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