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□逆チョコは反則です
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今日はバレンタイン。
男なら誰でもそわそわする日である。
女子からチョコをもらい、浮かれるやつ。
もらえなくて、浮かれないやつ。
俺の場合はそのどちらでもない。
あえて言うならもらったのに浮かれないやつ。
自分で言うのもなんだけど、昔からよくチョコはもらっているし高校に入ってからはさらにもらう数が増えた。
理由はわからないけどとにかくチョコは腐るほど女子からもらった。
でも俺が欲しいのはそんなものじゃなくて、ただ愛しい人からのチョコであって。
まぁその愛しい人というのは女子ではないのだが・・・。
俺の愛しい人というのは自分の憧れであり目標でもある、同じチームの飛鳥亨さんという人。
サッカーの技術もありながら、チームを支える柱のようなとても優しい人で俺の恩人でもある。
この人がいなかったらきっと俺は腐ってたと思うしこの人がいたからこそ今の俺がいると思っている。
そんな俺の愛しい人はなんだかんだいって去年くれたので今年もくれるだろう、なんて思っていたのだが・・・。
今現在の状況を見るとそれはなさそうで。
今は2人で帰っている最中なのだがもう100mちょっとのところで飛鳥さんの寮についてしまう。
寮の中の部屋で渡すという手もあると思ったが、今日は勉強しなきゃいけないから早めに帰りたいなんていうところから多分ないだろう。
だとしたらもう・・・そんなことを考えてるときに飛鳥さんが突然声をかける。
「鬼丸、お前チョコほしいか?」
いきなりそんなことを聞いてくるもんだからびっくりしてその場に立ち止まってしまった。でも、すぐに我に返り言葉を発する。
「はい、めちゃめちゃほしいっす!!」
「よかった。じゃ俺のもらったチョコもらってくれないか?俺こんなに食べられないから。」
そういってそそくさと帰っていってしまった。
家に帰って飛鳥さんから渡されたチョコを見る。
飛鳥さんも俺と同様たくさんの量をもらっているようだがその中に1つメモの挟まったチョコを見つける。
そのメモを読むと、
直接渡せなくてすまない。
なかなか恥ずかしく手渡せなかった。
中身はガトーショコラだから。
嫌いだったら食わなくてもいいぞ。
不味いかもしれないから。
とかいてあった。
そんな形で逆チョコを渡すなんて反則ですよ飛鳥さん。
俺はその飛鳥さんが作ったと思われるガトーショコラを一口一口味わいながら明日飛鳥さんに会うのが楽しみだった。
end