ShiOn    

□first...ShiOn
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逢沢傑。
俺と同い年の天才サッカー少年。
めちゃめちゃサッカーがうまくてはっきり言うと今この全国にいるどの中高学生よりもうまいんじゃねぇかな?と思うくらい。


俺はそんな奴に指名され、今日初めてU−15の試合に出た。


試合になんか出られるわけがない。そう思っていた矢先に起きて出来事だったので、すごくびっくりした。


試合は緊張したものの、逢沢傑のおかげで俺はそこそこ活躍できた。


というのも、俺のパスを全部あいつが理解してくれるからだ。今まで、俺のパスをあそこまで理解してくれる奴なんていなかった。


チームメイトはもちろんここにきてからだってなかなか全部理解してくれる奴なんていなかった。


でもあいつだけは俺の考えてることが見えるんじゃねぇかってくらい理解してくれた。


それが何よりうれしかった。


その夜、食事の後逢沢傑に話しかけられた。


「おい。荒木。」


「なに?」


「ありがとうな。」


「へ?なんで?」


俺はそいつの言ってる意味がさっぱりわからなくて、聞き返すようにして質問で返す。


「お前がいなかったら、今日の試合勝てなかったかもしれないから。」


と言われた。別にそんなこと直接言わなくてもいいのにななんて思いながら言葉を返す。


「いいよ。別に俺も楽しかったし。お前とできてよかったよ。サッカー。」


「俺もだよ。あんなパスする奴俺の周りにはお前くらいだし。ホントにうまいんだな。」


と笑いながら言ってくる。



「別に・・・。つか、お前のが確実にうまいだろ?」


なんか少し恥ずかしくて照れを隠すようにちょっととげとげしい言い方になってしまった。そのことに少しながら後悔をしていると、


「いや。俺はあんな動きもできないしパスもできない。だから、尊敬してるんだよ、お前のこと。」



「あ・・・っそ。」


やばい。凄くうれしいのに出てくる言葉はま逆の言葉。もっと素直になれよ、俺。



「なぁ、お前さえよければ俺の部屋きてくれないか?今日。」


「いいけど。なんかあんの?」


「いや別に。まぁ、待ってるからさ。」


そう言って俺から離れていく。


俺はその後ろ姿を見ながら自分の心臓がドキドキしてるのを隠すようにして、残っていた食事をかきこむ。


まだ俺はこの心臓のドキドキの意味に気付かぬまま



end
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