LOOKON

□嘘と虚無で塗り固めた恋
1ページ/2ページ


そうして天洛藍子が転校して来てから三日が経った今、彼女はまるで初めからその場にいたかのように彼等…つまりイナズマイレブンレギュラー陣の中に溶け込んでいた。

余りにも不自然すぎる打ち解け方に一瞬疑問が浮かぶも直ぐにそれは解決された。

あのロリ神が言っていた補正という言葉。成る程成る程。補正…簡単に言うと愛され特典って奴を彼女は受けている。
だから彼等は気持ち悪…おっと失礼、視線を反らしたくなるほどだらし無く頬を緩めデレデレとしているのだ。

女神と呼ばれ、ちやほやされて。おやおやまぁまぁ。あんなに頬を染めちゃって。

随分と虚しい恋愛ごっこをしているんだね?女神サマ。

全く愉快な喜劇だこと。さてここで役者達のご紹介をさせて頂きましょうか。




「藍子。次、移動だぞ。」

「うんっ。一緒に行こ?」

「あ、あぁ。」



こてん、と首を傾げながら笑顔を見せた天洛藍子に頬を真っ赤に染めるのは雷門サッカー部エースストライカーの豪炎寺修也。



「藍子。俺らも良いだろ?」

「なっ、風丸…!」

「うん!勿論だよっ!」

「藍子からの許しも貰った。残念だったな、豪炎寺。」

「鬼道まで…。」



その後ろから現れたのは爽やかな笑顔を浮かべる疾風ディフェンダー風丸一郎太。頬を引き攣らせる豪炎寺修也の肩をぽん、と叩きながらゴーグルをきらりと光らせているのは天才ゲームメイカー鬼道有人。



「えー、もう行っちゃうのー?まだ5分もあるんだからさー。」

「本当だよ。もうちょっといても良いんじゃない?」

「ちぇー。羨ましいよな、同じクラスとかすごい役得。」

「まぁまぁ。藍子ちゃんに迷惑掛けるなよ、皆。」

「ったく、土門の言う通りだぞ。」


上からフィールドの魔術師という異名を持つ一之瀬一哉。何でも器用に熟すと運動部から助っ人として大人気の松野空介。中途半端、良く言えばオールマイティとも取れる半田真一。元は帝国学園サッカー部、また帰国子女でもある土門飛鳥。雷門初期メンバーで仲間意識の高い染岡竜吾…。





「…長かった。」




はぁ、と溜息をつきながら逆ハーレム集団から目を反らす。雷門サッカー部であの中にいないのは一年生とマネージャー。勿論のこと吹雪士郎や基山ヒロトといったイケメンかつ重要キャラクターの姿はない。あったら困るが。
…あといないのは、キャプテンでありイナズマイレブンの主人公でもある円堂守だ。本来ならあの輪の中心にいるべき人物。



 
次へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ