LOOKON

□望んだはずなのにね?
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そんな訳で次に意識が覚醒した時にはもう私は少し寂れた狭い一室にいた。可愛らしい家具が点々とあるその部屋はどうやらアパートかマンションのようで白い壁の向こう側から隣の住人であろう人の鼻歌が聞こえてきた。

呆然とする私の傍らにあったのは綺麗に折り畳められた大きなリボンが目立つ制服と分厚い冊子。分厚い冊子を手に取り、ぱらりと紙をめくればそこには雷門中と稲妻町の地図や私のここでの友好関係やクラスメートの名前など所謂設定などというものが事細かにびっしり書いてあった。

つまりはこういう事だろう、今日からここが私の家、だ。



「あのロリ神…。」



用意周到とは正にこの事。私としては不自由などないが如何せん気に食わない。まるで奴の思い通りに動いているみたいじゃないか。

そんな事を思いながらふと壁に掛かった至ってシンプルなカレンダーへと目を向けた。



「……4、月?」




その薄っぺらい紙が主張するのは数字の4。慌てて床から立ち上がり、閉められたカーテンを勢いよく開けると目の前にあったのは、




「…嘘。」





満開の、桜。ひらりひらりと舞う桃色の花弁を呆然と眺めた後、ぎこちない動作で先程まで目を通していた冊子へと視線を移す。

2年1組。それが私のクラスだとあの冊子には書いてあった。

私が現世…というか元の世界にいた時の時系列は3月の初めだ。終業式の後の帰り道だった。即ち私は二年で学ぶべき学業は全て学び終わっている。

3月から4月。普通に考えれば時間が早送りされた、だろう。だが私のクラスは2年1組。これが意味するのは当然、



「また二年生生活を楽しめと。そう言いたいんだな?ちび神さんよ…!」


くそ、と悪態を付きながら乱暴にカーテンを閉める。

桜は散っていた。つまりはもう、4月の後半。





「…予想以上に、面倒だ。」




そしてそれを受け入れている自分も、な。
















「頭がいいこは」
「損ばかり、」 



 

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