番外編
□腕(かいな)の中でお眠りなさい
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腕(かいな)の中でお眠りなさい
私の子供たちよ
宋麟は、わあわあ賑わっている食卓を眺めながら、くすりと笑った。
(麒麟の私がこのような素敵な家族を持てるなんて・・・)
本当に私は幸せ者だ。このような方たちと引き逢わせてくれた天に感謝しなくては。
王后の明嬉が次男坊の頭をはたく。
「それは昭彰の桃だよっ」
延麒は街を歩く。己の主の姿を無意識に探す。
「あいつ、すぐにいなくなりやがって・・・」
ぐちぐち言いながらも主を探す。
そして、周りを見回した。
自分が初めて見た雁の土地は目もあてられないほど荒廃していた。
それが今では、こんなにも栄えている。
ふと、明るい光を感じた。
「おい!尚隆!」
氾麟は庭を眺めていた。
「主上ったら・・・。今日は一緒に絵を見に行くと約束したのに・・・」
しかし、仕方ないのだ。自分の主は一国の王。私事を優先して動ける人間ではない。それは氾麟もよく分かっている。
「仕方ないわ・・・。一人で見に行こう」
「おや、私を置いていくのかい?」
氾麟の顔がぱあっと輝いた。