番外編

□蜃気楼の街で
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一人の少女が俯き加減で歩いている。歩くたびに真っ赤なランドセルがかたかた鳴る。少女は自分の影を踏みながら歩く。
少女は今日、母親に早く帰ってきて家事を手伝うように言われていたのだけれど、何故か、その言葉に反抗してみたくなったのだ。
けれど、寄り道などしたことがない少女はどうしたら良いか分からなかった。
しかも足が痛んできた。

「公園・・・」

こんなところに公園があったなんて、と思いながら、少女はブランコへと走っていった。









しかし、ブランコにはもう先客がいた。
少女と同じくらいの歳の、少年。
少年は泣いていた。

「どうしたの?」

少年は顔をあげる。

「ポチが死んでしまったの」

「ポチ?」

「柴犬。僕がいけないんだ・・・」

「どうして死んじゃったの?病気?」

少年は首を振る。

「ううん。お母さんがホケンジョってところに連れていってしまったの」

「ホケンジョ」

少女はその名前を聞いたことがある。
棄てられた動物が行くところ。
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