BOOK(K)
□アンビバレンス
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『大好きなにーにへ(はぁと)
こんにちは、元気にしてますか?遥は相変わらず少し動いたら死ぬんじゃないかなぁっていう、ベッドでの生活を送っています。
ところで、僕なんだか急ににーにに髪の毛触られたくなっちゃったの。ねぇ、お願い、僕の髪の毛触って?にーにの手で優しく掴んで、口に含んで?もう好きにしちゃってよ、大好きなにーに、お願い(はぁと)』
「という手紙が今朝ポストに投函されていまして。因幡さんはここまで声に出して読んだんですが、それ以降の文章は鼻血やら涎やらによって読解が不可能になりました。しかし恐ろしいことに相手はそれを見越したのか、手紙の裏に一本の見事なまでの白髪が貼りつけてあり、半ば自我を失いつつあった因幡さんの口にそれを押し込みました。それで、彼の待ち合わせ場所を解明して、現在に至ります」
「それでは現在の説明は」
「罠であるのが当然だと思うべきですが、相手はアイツです。因幡さんは着の身着のまま丸腰でここへ飛び込んで、そこで待っていたアイツが因幡さんを縄で括って柱に縛り付けて、 『そこから抜け出せたら僕の髪の毛さわっていいよ♡がんばってね、にーに、僕はやくにーにに触ってもらいたいな♡』 …と、いうわけです」
「相手の目的がまるでわからんな」
「ただ因幡さんをいじめたいだけだと思います、素直に」
「そうなのか」
「とりあえずなんだかんだで因幡さんも幸せそうなので、本気でやばそうになるまではこうして陰でお茶でも飲んでいようかなと」
「そうか、なるほど。では俺もいただこう」
「あ、どうぞどうぞ」
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