BOOK(H)

□good morning?
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いつもより、1時間早く目が覚めた。
1時間くらいなら二度寝が出来ると思ったけど、「早起きは三文の得だ!」と普段から豪語している近所のオニイサンの事を思い出して、久しぶりに1時間早く、ベッドから抜け出ることにした。

学校指定のジャージに着替えて制服をカバンに詰め込んだ。家族はまだ誰も起きてないから、適当に戸棚にしまってあった菓子パンも、朝ごはん替わりに制服と一緒に入れた。

「行ってきまーす」

朝練開始の時刻までまだ後1時間。まだ薄暗い街。どうせなら遠回りして行こうか。何か面白い発見でもあればいいのに。

『早起きは三文の得と言ってね!早起きはいいよ!この間なんてなぁ、ジョギング中に500円落ちてたんだ!』

結局その500円を交番に持って行ったんだけど人がいなくてね、持って帰る最中に寄り道した公園で体操をしていたら、その時に500円を落としてしまったんだよ。そういって笑っていた近所のオニイサンの顔を思い出す。
何か得したんさ?と聞いたら、「面白い話だろう?」と笑顔で返す。いいな、こんな人生、とふと思った。

だからその公園を通って学校に行こう。と、思いついたんだ。
別に500円落ちてないかなぁ、なんて思ったわけじゃないけど。
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