作品集

□束縛して拘束する
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赤く鬱血した手首。両手首を括る細い細い紐。動けば動く程それはゆっくり皮膚に沈んでいく。貴方は言うことを聞かなかった。何度動くな、と伝えたのに。尚も逃げようとする貴方。

何故。

首には赤い首輪。凡庸かと思ったが、やはり貴方にはその色が映える。赤い赤い首輪。それは鎖に繋がれて、貴女が動く度に金属音が響く。床に当たる鎖がまるで何かの生き物の様。

私の名を呼んでくれるその熟れた唇。この前見れば、唇を噛んだのか、鮮血が滲んでいた。慌てて拭ってやると、貴方は私を睨みつけた。鋭い眼光に私は思わず口角を上げてほくそ笑んでしまった。刹那、貴方は怯える様な表情を見せた。ずるずると後ろに退き、壁に背をつけた。私から逃げることは出来ないのに。

私の愛しい人。




end.
 

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