作品集

□02.これって恋?
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あの時の企画書・・・?
出した。
書いて出しました。
ちゃんとその日にね。
内容は即興で考えたもんだからボロクソ。秋吉にめっちゃ睨まれた。「内容薄すぎるだろ」だってよ。しょーがないだろ。

お前に、秋吉に直ぐにでも会いたくて、内容なんか考えてる余裕無かったんだから。
ってゆー理由じゃダメ?あ、やっぱダメか?

マジな話なんだけど。


***


俺が企画書を提出してから数日経った、ある日の放課後。俺はあの日以来毎日の様に生徒会室へ足を運ぶ。


「秋吉〜あきよし〜」

俺がどんなに呼んでも、こっち向いてくれない。何回呼んだと思う?今ので10回目だぜ。何でシカトすんの?
俺に背を向けながら、企画書の整理をしてるツレナい人。それが秋吉。

「なぁ〜あきよし〜」
「黙ってろ」

ヒドッ!人が放課後の貴重な時間を割いてまで会いに来てるのにぃ。
まぁ、俺が一方的な感じですけどー。てか、まさしくソレ。

「・・・何で、お前が居るんだ?」

ん?俺?
わーい、秋吉から喋ってくれたー。なんて、ちょっと調子乗るよ俺。虚し過ぎるけど。

「毎日の様に来て・・・お前、何も仕事は無いんだろ?」

ああ、全く。だって、ほら・・・何だっけ?俺が所属してる委員会。あれよあれ、文化祭実行委員会。文化祭は当分先の話だから、今の所忙しさはほとんど無い。
まさか自分が副委員長やるとはね、誰もがビックリ。俺もビックリ。
ジャンケン勝負に負けた結果だけど。むしろ今は負けて良かったとか思ってる。

生徒会副会長のお前との距離が縮まったから。

「だってヒマだしぃ」

先ほどの秋吉の質問にテキトーな返事をしとく。まさか『貴方の近くに居たいんです』なんて口が裂けても言えねぇよ。んな、昭和の少女漫画みてぇなオトメな台詞。
実はそれが本当の理由だとしても、だ。言えねぇって。

「なんか手伝う事ある?」
「別に無い」

会話終了。チッ、せっかくアピールしてんのに。冷たい奴。そんなんじゃ女にモテないぞ?
・・・あ、そーいや、

「お前、彼女いんの?」


何、唐突に訊いちゃってんの俺。自分の質問に予想以上に心が跳ねた。
あまりにも自然に訊いちゃったもんだから冷や汗が出てくる。

何が辛いって・・・、

「なぁ、秋吉?」

秋吉が質問に答えてくれない事。

無視なの?シカト?



え、まさか彼女いんの?


・・・マジ・・・・?


答えを聞いてないのにどんどんマイナスな思考が展開する。俺ってこんなにネガティブな奴だっけか?

「お前って彼女居なさそうだけど、まさか?」

よし、・・・声は震えずにすんだ。
自分で訊いたんだから、それなりの覚悟はしていた・・・と思うんだけど。やっぱ、訊いちゃうとドキドキ止まんねぇ。
早く答えろよ!

「一応、居る」
「え?」

どきん。

「あ、・・・マジ?」

喉から絞り出した言葉。震える声はどうやっても抑えきれなかった。

「俺が嘘付く奴に見えるか?」
「見え・・・ない」

見えない見えない。お前が嘘付くとかマジ有り得ない。
でもな、今のは嘘付いて欲しかった。
彼女居るんだ。マジ?

「あー・・・のさぁ」

深入りするのか?

「何だ?さっさと言え」
「彼女、何組?」

これぐらいなら訊いても罰当たんねぇだろ。
なぁ、教えてくれよ。

「お前のクラスだ」

・・・嘘だろ。
知らなかった。ちょっと前まではお前の事キョーミ無かったとは言え、男女のあれこれは耳に入ってくるハズなのに。

「・・・誰?」

やっぱ訊いちゃう。

「それは教えない」

やっぱ教えてくれませんよねー。
なぁ、マジダメかよ?

「お前は?」
「ゥえッ?」

逆に訊かれ、驚いて返事が上擦ってしまった。カッコ悪。

「・・・最近別れた」

別れ際、見事に平手打ち喰らいましたとも。マジふざけんなよ、あの女。ちょっと怒りが蒸し返してきた。

「そうなのか?アイツだろ、4組の子だろ?結構可愛い奴だったじゃないか」

まぁ、顔と体は俺の好みだった。ホント、エロい体してんだぜ、あの女。俺好みだったけど、

「中身が最悪」
「そうなのか?お前が言うくらいなんだから、そうなんだろうな」

秋吉はホッチキスで紙の束をまとめながら、笑った。
そんなに可笑しいか?
てか、何、俺を馬鹿正直って言いたいの?
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