新幹線でGO

□青空と風と…(山陽&東海道)
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「…」

ゆっくり通り抜ける風に呼吸を合わせると意識は再び遠退いていく。

「…よう…」

微かに聴こえる東海道の声。
優しく額を撫でる手が心地好い。

「…前は…」
「…」
「…も…って…」

東海道の声がさらに遠くに聴こえ始めると俺の意識はそこで途絶える。
優しい風が通り過ぎて行く…。



「山陽…」

私はゆっくり山陽の長めの前髪を払うように額を撫でる。
微かに熱を帯びる山陽の体温が心地好い。

「お前はいつも一人で抱えてしまうな」

九州との調整。西日本の調整。そして、車両の事。
同じ時間を一番共にしたはずなのに、なかなか山陽は私を頼ろうとしない。
抱えてしまう。飄々としているのに、大切な事はけして口にしない。

「私をもっと頼ってくれ。お前一人くらいは支えられる」
「…」

ゆっくり吐息を立て眠る山陽の額にゆっくり口づけを落とす。
そして、ゆっくり雲の流れる大空を見上げた。


終わり


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