新幹線でGO
□青空と風と…(山陽&東海道)
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耳の奥底で誰かが呼んでいる。
意識は遠く、聴こえる声はどこか優しく、頬に当たる風は冷たく、肢体に当たる陽射しは暖かい。
「…」
俺は瞳をつむったまま、その声の主に意識を集中する。
「山陽…」
「…東海道か?」
ゆっくり瞳を開けると、名を呼んだ主が心配そうな表情で俺の顔を覗き込んでいる。
「具合でも悪いのか?」
「…」
俺は首を横に振る。
「ただ、疲れただけ」
俺は笑顔で告げる。
現在屋上で、大の字になって転がっている。
ぽつぽつと、白い雲が流れる青空。
日々の疲れが馬鹿馬鹿しくなる程の清々しい風と暖かい陽射しを浴びていたら、寝転びたくなったのだ。
「山陽…」
東海道が、俺の頭の辺りに正座する。
「…頭痛いだろ?」
ポンと自身の膝を叩く。
「良いのか?」
「今日だけだからな」
恥ずかしそうにそっぽを向くと告げる。
俺は遠慮なく東海道の膝に頭を乗せると再び風に身を任せるよ。