新幹線でGO
□お出かけしましょ(北陸&山陽)
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そして休日
「山陽先輩」
約束通り山陽の部屋へ迎えにやってきた北陸。
しかし、返事はない。
「…」
北陸は口元を尖らせ、ドアを叩く。
やはり、誰も出てこない。
軽い苛立ちを覚える。
「山陽…」
「朝から騒がしいな」
するとそこへ朝帰りの九州が通り掛かる。
「ああ、おはようございます」
北陸は、いつもの笑顔で挨拶する。
「ああ、おはよう。山陽がどうかしたのか?」
「約束したのですが…」
「そうか…」
仏頂面の九州は面倒臭そうに呟く。
「…」
甘いコロンの香が鼻を付く。いつも九州が付けているものではないのは北陸でもわかった。
ーああ…。
他者の移り香。北陸にはある意味、憧れでもあった。
まだ幼かった頃、上越や勿論山陽も、朝早くに会えば大抵女性物のコロンの香が微かにしたものだ。