新幹線でGO

□一緒に…(北陸&山陽)
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「…」

暗い廊下。
北陸は、ゆっくりと、なるべく静かに歩いていく。
パジャマ姿に手には枕。
板の間の廊下の軋む音が、暗闇に響く。

「…」

北陸は軽く身震いをすると、目的地の前で立ち止まる。

「…」

そっとドアを開ける。

「…失礼します…」

ゆっくりと目的の場所へ近付く。

「…」

軽く吐息を立てる山陽。

「山陽先輩…」
「くかっ、うぅぅん?長野?」
「北陸です」
「ああ、来いよ」

寝ぼけ眼で布団をめくると招き入れる。

「ありがとうございます」

北陸は、遠慮なく山陽のベッドに潜り込む。
山陽の温もり。
それがほっとする。

「…長野ぉ…」
「山陽先輩…」

北陸は、山陽に抱き着く。

「ふぁ?うわぁぁ…」

山陽は飛び起きた。

「なっ、えっ、なに?えぇっ…?」

電気を点ける。

「山陽先輩?」
「なっ、なんで?ほっ、北陸?」
「なんでって、山陽先輩が怖い夢見たら来て良いって…」
「長野には、言った。だけど…」
「元長野です」
「そりゃぁ、そうだけど…って。違う!そんな、俺よりでかい図体した奴がなにを…」
「そんなぁ。山陽先輩酷いです」

長野の時のように北陸はむくれて見せる。

「だぁ、断じて可愛くないからな」
「えぇ、酷いですよぉ」
「酷くない。さっさと…。って、うわぁ…」

北陸は、壁に背を付けていた山陽を引き倒すと、ベッドに抑え込む。

「山陽先輩。お願いします。今日だけです。ねっ?一緒に寝かせてください」

切なげな表情を浮かべる北陸。
いくら身体が大きくなっても、素直さは長野のままだった。

「…わかった。今日だけな…」

山陽は軽く溜息を吐くと告げる。

ー今日だけ…。何度目の今日だけだよ。

思わず苦笑する。

「ありがとうございます」

笑顔を浮かべる北陸。
山陽を放すとそそくさと、枕の位置を直し寝る準備をする。
そして、定位置に着く。

「お休み」
「お休みなさい」

狭いベッドに、大の大人の男が二人。
少し窮屈だが、それがまた懐かしい。

「山陽先輩…」
「うん?」
「明日も晴れると良いですね」
「ああ、そうだな」

電気を消す。うっすらカーテンの隙間から月明かりが漏れる。

「…」

月明かりに照らされ、二人はゆっくりと眠りに落ちて行った。


終わり


コメント
すんません。やっちまった感満載の北陸&山陽です。なんか、北陸って北陸になっても中身長野のまんまな気がします。


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