新幹線でGO

□weary(東北&秋田)
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全ての業務が終わった秋田は上官控室へ向かう。
そのまま官舎へ戻りたい気持ちもあったが、一先ず、運行報告と明日の運行予定の確認を行う為渋々向かっていた。
薄暗く長い廊下。
重い足取りは、気すらも重くする。

ーやだなぁ…。

秋田は内心で呟くと大きく溜息を吐く。
別に報告に行くことが嫌な訳ではない。
報告は仕事であり、好き嫌いを言える物ではない。
秋田が控室へ行きたくない理由。
それはただひとつ。
疲労を浮かべた顔を、東北に見せたくないからだ。
朝から遅延が生じ、その処理等で慌ただしく、ましてや昼食もろくに摂れぬまま今になってしまった。

「はぁ…」

大きく一息吐くと、軽く髪を直し、笑顔を作り入室する。

「お疲れ様」
「あっ、お疲れ様です」

始めに気付いたのはまだ幼さが残りながらも、もう高速鉄道としての威厳も見られる様になった長野だった。

「あれ?長野だけ?」

秋田は室内を満遍なく見渡し、長野の隣に腰を下ろす。

「はい」
「上越は?」

いつも一緒に入るはずの上越が居ない事に、軽く首を傾げる。

「上越先輩は、お着替えに行かれています」
「着替えか…」

高速鉄道の中でも一番のお洒落で、汗をかく事を嫌う上越らしい行動に、秋田は溜息を吐く。

「秋田先輩?」

長野は心配そうに秋田の顔を覗き込む。

「えっ、ああ…何?」

秋田は、子供に心配かける自分を反省しつつ笑顔を浮かべる。

「ちょっと待っててください」

長野は立ち上がると給湯室の方へ走っていってしまった。
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