読み物・文 ―短編ばかり♪―

□雪の散歩道
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「再不斬さん、見てください!初雪ですよ!」

早朝、居間の扉が大きな音を上げて開かれた。その音量に少々眉をひそめながら再不斬は手にしていた巻物から目をはなした。

「初雪?雪なんか珍しくもないだろう」

「そうですけど・・・懐かしいんです。ね、再不斬さん、一緒にお散歩に行きませんか?」

―――――――
―――――
―――

結局連れ出されてしまった。
再不斬は白い息を吐きながら雪を踏みしめた。

この前雪虫が飛んでいたからそろそろかとは思ったがもう降ったのか・・・様々な感情を抱きながらちらりとはしゃぎまわる白を横目で見る。
本当に雪が好きな奴だ。

「もう30cmも積もってますよ。でも水の国にはまだまだですね」

「あたり前だろ。ここは水の国南西だ。そう滅多に降るもんじゃねぇ」

そのまま二人は森の中の道をずうっと歩いていった。やがて大きく開けた所に出る。

「ずいぶんと広いですね。・・・ってあれ?まさか・・・」

再不斬の足元がミシリと嫌な音を立てた。

「な゙っ!!」

ぐらりと体が傾ぐ。固い所を突き破った足先に刺すような冷たさを感じた。そのままずぶずぶと体は沈み込み、体を支えようと手をかけた地面は脆くも崩れた。

「(チッ湖か!)」

ちらっと見えた地面―氷の断面に再不斬は思いっきり舌打ちした。

這上がろうにも、それにしては氷が薄く、次々と割れてしまって頼りにならない。
下が水だから一度落ちてしまった以上踏ん張ることもできない。
さらに背中の人切り包丁が重量を増し、余計に体は沈みこんでいく。

「(さすがに不味いか?)」

冷たい水に体温を奪われ、本気でそう思った瞬間体が沈み込むのを止め、少しづつ上へ上がり始めた。

はっと上を見ると心配そうな顔をしている白と目が合った。
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