読み物・文 ―短編ばかり♪―

□ふたりぽっち
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その日はとても寒い日でした。

季節外れの雪がちらつく中、海に囲まれた小さな島のような国の橋の上で、ボク達は死にました。

あなたを護れなかった、もう道具でもなんでもないボクのためにあなたは泣いてくれました。
ボクと同じ所に行きたいと、泣いてくれました。

あなたの涙を初めて見ました。



ボク達は、その国の丘の上の大きな桜の木の下に埋められました。

金色の髪の少年と、その仲間のみんなで大きな穴を掘ってくれたんです。
大きなあなたが窮屈じゃないようにと、とても大きな穴でした。

ひんやりとした穴の中に降ろされた時、偶然ですが、ボク達の手が重なり合ったのです。

それを見て、あなたの敵であり同志であると言う銀色の髪の男の人が微笑んだような気がしましたが、それをあなたに言うと恥ずかしがると思うので内緒にしておきます。



ボク達に土がかけられ、外の世界から切り離されました。

不安になったと思いますか?

これでボク達は本当にふたりぽっちになったのです。

幸せでした。
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