読み物・文 ―短編ばかり♪―

□金木犀。
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金木犀。(カカシ仔白)
小さなクシャミから始まるのは。





やっと、白が自分に心を開いてくれた。少しだけど、安心している。
「白ちゃん、ココア飲む?」
白は小さく頷く。
カカシがココアを淹れている時、微弱なクシャミが数回聴こえた。振り向くと、白が小さな手で口と鼻をおさえている。
「白ちゃん、風邪?」
「違う」
心配そうにカカシは、白の額に手を当てる。熱がある。


「風邪だな。白ちゃん、ちょっと出かけよう。此処には申し訳無いけど、風邪薬が無いんだ」
白に上着を着せておんぶをして、家を出る。苦しそうに白はカカシにしがみつく。
   

「もうちょっとだからね」
「はい・・・・」
そう言って、白は瞼を閉ざした。


 
――――あ、何だろう。この香り。お母さんが教えてくれた。どうしよう・・・・思い出せないよ。








「軽い風邪ね。一晩、安静にすれば大丈夫よ」
白に毛布をかけながら、紅は言う。
「すまんね。紅」
「医者行けば良いのに。でも、この子、何処の子?木の葉の子どもでは無い様ね」

紅は切れ長の眼で、カカシに問う。カカシは(流石、紅だな。恐れ入るよ)と思いながら「あぁ、霧の国・霧隠れの里の子さ」と言った。
「良いの?火影様にバレたらどうするの!?」
「いや・・・・それは」
「しかも、この子、普通の子じゃないわね」
「だから」
「だからって」
「済まない。責任は俺が取るから」


「分かった。苦しんでいる子の前で大の大人が言い合いしても、仕方無いわね」
紅は立ち上がり「少し、休むから」と言って別の部屋に行った。







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