婆裟羅!

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成り行きって怖い



初依頼が来たのは良いものの、『匿う』って……


「アンタ……今から何処に行きたいの?」
「?」


「私の基本は遠隔操作でそういう組織を撹乱させて逃げやすくするのを専門にしてる情報屋なの。だから、行き先さえ教えてくれればパスポート偽装、密航、寝床、それくらいの『安全』は確保してやれる」


私は眼帯に大雑把に説明する


因みにそういった情報はいろんな所から貰うんだよ
専門の人の場合もあるし、一般人から携帯のリアルとか覗いて状況を知る事だってある




しかし、眼帯が頼んだ事は想定外だった


「…出来るだけ、今はこれ以上動きたくねぇ。追っ手も躍起になってる頃だろうからな」


…『移動を手伝う』ってのが私のスタイルなのに、動きたくないって……


「じゃあ、どうすんのよ」


眼帯は淡々と告げた
「言った通り、匿って欲しい」

「……ここで?」

「出来ればな。組織の動向も調べて欲しい」



確かに、私はちゃんと情報の処理はしている

幾つもの、偽も含むIPアドで世界のそこらじゅうをさばくって、その痕跡も全て完璧に消してきた


全くあしがついてない、更に情報も引き出せる情報屋の本部


相手にとっては中々都合のいい話なのかもしれない



「金は…あまりねぇが、払う」


眼帯が本格的な交渉を持ち込んできた!

まじでここに居座るつもりか!?


世話って、そんな日常的な世話までしたくないよめんどくさい




(お金ねぇ…)


「実はあんまりいらなかったり」
「Ah?」






えー、でもその組織についても今わからない状況でコイツを追い出して捕まったりてんやわんやで私の所まで割れるのは
……非常にまずい!



他の仕事にめっちゃ支障がでるどころか最悪私も死ぬでしょう



コイツと関わった時点で選択肢はかなり少なくなっていたらしい

消去法…ああ、後ろ向き


成り行きというより…これは因果か…

はぁ、仕方ない



「…じゃあアンタの追っ手の組織について色々教えなさい。
アンタ自身も含めて。それが条件」

「…!なら」



「しょうがないからその依頼、引き受けましょう」



思わぬ同居人が転がり込んできた瞬間だった




…が



「……so hungry…」
「あ?」


今まで気を張っていたのか
べしゃ、と眼帯が正座のまま前のめりになるように倒れたのだった


…ひょっとして、あの時私がいとも簡単にコイツを倒せたのは、単にコイツが空腹で力が出せなかったから…?

まあ、そうじゃないとこの弱さで殺し屋とか、やってられんだろう



それにしても保存食をきらすくらいになるまで、逃げるとは凄い根性してんな




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