◇黒蝶色の夢◇
□Pure white and Dark
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適性があると誘われ
望まない力を埋め込まれる
その末に待っているのは
とてつもない代償
「はっ…ぁ…あぁ…ッ。」
ベルトが外された拘束着の狭間から覗く白磁の肌にヴァイスが触れると、ベッドに組み敷かれたネロは恍惚とした表情で甘い悲鳴をあげた
ネロの代償
それは、背中に付けられた空を飛ぶためのギミックからもたらされる激痛だった
背骨の中にある脊髄と直結する事により滑らかな動きを可能とされた金属製の翼
だが、元は備わっていない異形の力
体は痛みという拒絶を発し、それに相まって増大する闇の力から来る不安感や絶望感
普通の治療では気休めにもならない大きすぎる副作用を押さえ込む物は、脳内麻薬と称されるエンドルファンを多量に分泌させる薬品
「兄…さ…っ…、も…あぁッ!!」
ヴァイスが僅かに開いた衣服の隙間から差し入れた手を張り詰めたネロの自身へ滑らせると、ネロは背筋を反らしながら呆気なく上り詰めて白濁を放った
痛みを緩和する為に体に行き渡らせた苦しみさえ覚える程の快楽
ヴァイスはネロが薬品を投与される度に、持て余された熱を放出するために部屋とは名ばかりの監獄を訪れていた
「ふ…っ…、はぁ…。」
吐き出しても尚薬品の効力で熱を帯びる自身にネロが眉尻を下げながら足をすり合わせると、ヴァイスは安心させるように汗で貼り付いた黒髪を払って白い額に優しく口付けた
光の加護がある自分以外が行えば暗闇に取り込まれてしまう
致し方ないと思って始めたこの行為だが、日を追うごとにヴァイスは使命感とは違う感情に心を満たされていた
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