シェリー

□衝動的に手軽な殺人
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雨はどんどん強くなって、雷までおちていた。
お茶会は終わる時間だったが、雨のせいかだれも帰ろうとはしない。

「時計ウサギ」
「ん?」
もくもくと食べる姿はどことなくクラリスに似ている。クレイドルはそんなことを思いながら、無駄とはわかりつつもキャサリンにたずねる。
「クイーンがいないんだ」
「クイーン?ハートの?」
「ああ」
「めずらしくキングがいると思ったら、クラリスがいないのか。…ああ、あいつもいないわ。ちょうどいいから、このあたりで謎ときでもしとく?」
「謎とき?」
「料理女かチェシャ猫あたり、連れてきていいわよ。なんにせよあたしとあんたのツーショットは目立つから、だれか連れてらっしゃいな」
目立つ、というのは、キャサリンが群れたがらないせいだ。仲良くしているのといえばクラリスくらいである。
「わけのわからないまま終わるのも嫌でしょう。大体の予想はついてるから、あたしでいいんなら話してあげる」
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