バーボン

□罪と咎とで手軽な殺人
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世界はすべてお芝居だ。男と女、とりどりに、すべて役者にすぎぬのだ。
シェイクスピア『お気に召すまま』





「クイーンが黒以外の服を着ているの、初めて見た気がします」

アップルへ返事をしに行く、というクラリスに、誰か連れていくように言ったのはエドワードだった。断るわけではないのだから警戒することもないだろうに、結局は押し切られて、こうしてアレイストとクレイドルとの3人で連れ立って歩くことになってしまった。

「そうか?」
「クレイは何度かうちにも来ているから見てるかもしれないけど、わたし、お茶会やアリスの仕事はいつも黒い服で行ってるわ」
「好きな色なんですか?」
「ううん、別に。似合うからよく着てるだけ。この服はヴィンセントのプレゼントだから、一度は着たとこ見せないと失礼でしょ?」

白いワンピースは、華奢なクラリスによく似合っていた。細かいレースや生地、仕立ての良さからかなり高級なものであることがうかがえる。
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