バーボン
□罪と咎とで手軽な殺人
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「自殺です。あれは、自殺」
「他殺の可能性は?」
「ないとは言い切れませんね。ですが、キングは仮にも三大魔術師のひとり。そう簡単に殺されるとは思えませんね」
「……たとえば、相手も三大魔術師だったら?」
さあ、本題はここからだ。
「同じく三大魔術師のひとり、蒼の魔女クラリス・ローランサンならば、彼を殺害出来たのではありませんか?」
「よく似合ってる」
ヴィンセントは上機嫌に、クラリスの服を褒めた。
「君はやっぱり、白い色が似合う」
「ありがとう。毎年忘れずにいてくれて、嬉しいわ」
クラリスもなるべく機嫌が良く見えるように笑顔を作る。アレイストの同行のおかげで、クラリスの機嫌は下降の一途を辿っていたのだ。
「女王になると言ってくれて、私もとても嬉しいよ。君がいてくれれば、どんなに心強いか」
「買い被り過ぎだわ。あれから何年も経っているのよ、昔のようにはいかないかもしれない」