バーボン
□罪と咎とで手軽な殺人
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「ようこそ、女王を守る騎士たち」
「それじゃ、わたしはヴィンセントと話をしてくるから」
客室に通されるなり、クラリスはそう言って席を立った。
「…え?」
「あなたたちを同席させるわけにはいかないわ。アップルの機密に関わる話をするのよ?」
「ああ。悪いが、ここでエリオスと待っていてほしい」
「でも、クイーン」
「アレイスト、あなた、わたしの言うことが聞けないの?」
クラリスは射抜くような鋭い視線を向けてくる。厄介な相手に弱味を握られたものだ、とアレイストはため息をついた。
「わかりました」
答えると、クラリスはクレイドルに目配せをしてからヴィンセントと別室へ消えていく。
「……?」
「お前を見張ってろとさ」
「アイコンタクトがとれるなんて、妬けるなあ」
「ええ、羨ましい限りですねえ」
クラリスを刺した男としか認識していないエリオスが、にこやかに笑う。