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□本編
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「新木 緋です。よろし」
「わーちぃせー」
「まじタメ?かわいーい」
「ちっこいなぁ」
「―――…っ小さいって言うなぁ!!!」

あ、やっちまった。



新木 緋(アラキアカ)15歳。
今日から通う高校で、自己紹介中にムカついて、思わずキレました…。

ここは空ノ宮(ソラノミヤ)学園。
幼等部から高等部まで合わせて約4000人くらいが通ってるらしいマンモス学園。
実は俺のじいちゃんがここの理事長で経営者だったりする。

俺も幼等部はここに通ってたんだけど、なんか経営者の孫じゃ何かとアレだからって
小学校と中学校は公立の学校に通ってた。
…アレってよくわかんねーけど。

まぁそれで、今年の春からも普通に公立の高校に通う予定だったのに。
受験もして、制服も買って、なにもかも準備万端で、なのになのに入学式の一週間前にいきなりオヤジが


「悪ぃ緋、父さんと母さんこれから銀婚記念の世界一周旅行に行ってくるな! いつ帰るかわからないから、緋はじいちゃんの学校へ行きなさい。OK?」
「は!? 何それ聞いてねぇ!」
「今言った☆」


とかなんとか、わけわからない事を言って、本当に旅立ちやがった。
折角受験した高校、まだ入学式すらしてなかったのに。
いつの間にか勝手にさっさと退学手続きしやがって…なんなんだよあのオヤジ。訳分かんねぇだろ。

そういう訳で、俺は今日からじいちゃんの学校に通う事になった。
入寮手続きとか準備とかで、ここの入学式にも出れなくて、今こうやって転校生のような扱いで自己紹介した。
生徒のほとんどがエスカレーターとか言うこの学園じゃ、小中普通に公立の学校に通ってた俺は転校生みたいなもんだから、しょーがないけど。
幼等部はここに通ってたらしいけど、あんま記憶に残ってないし。

そんな俺が珍しいのか、この低身長が珍しいのか…
妙に周りからの視線が気になった。
んだよ…俺だって、これからグングン伸びるんだぞ! ちびって言いやがって

まだ俺の事でザワザワしてる教室に、ドスの効いた低い声が響いた。


「テメェ等いい加減、静かにしやがれ! 俺のクラスで俺の言うこと聞かねぇ奴は退学にすんぞ!」
「…………っ」


一瞬でしんとする空気。
息を飲む音。
俺の隣に居る担任をポカンと見つめるクラスメート達。
その様子に満足そうに担任が笑った。


「やれば出来んじゃねぇか、じゃ緋連れて理事長室行ってくっから、お前等は今日はこれで終了、新しい寮室ではしゃぐなよ」


担任に連れられて廊下に出ると、教室のドアが閉まった途端に中でまたざわめきが起きていた。
話の内容はもちん


「沢田が元ヤンて噂まじかな?」
「こえーあれが担任かよ」
「元ヤンてか現役じゃねーの」


言いたい放題いろんな声が聞こえてくる。
そらそーだ、生徒相手にメンチきって脅す担任なんか普通いない。
教室の中のザワザワ声を聞きながら、俺はそーっと担任の顔を覗いてみた。






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