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□本編
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部屋に戻る途中、紫音と吉岡は用事があるとかで別れた。
なんか別れ際に紫音が浅野に耳打ちしてたけど、なんだろう? 頑張れとかなんとかって。何頑張んだ?

とりあえず、また明日って別れて、俺と浅野は部屋に戻った。

ぼすっと音をたててベッドに倒れ込む。布団がすげーふかふかで気持ちいい。やべぇ、このまま寝れる。

俯せのままうとうとしてたら、浅野が心配したらしくて声をかけてきた。


「どうした? 大丈夫か?」
「んー、ちょっと眠いだけ…」
「風邪ひくから布団かぶれよ」
「んー」
「新木?」
「…ん」


もう浅野の声が聞こえるだけで、何を言ってるのか理解できなかった。

なんとなく感覚で布団をかけられた事と、頭を撫でられたのがわかった。
それからほっぺに柔らかいなんか。

そこで俺の意識はなくなった。
とにかく眠かった…



*****



『えー? 何青磁、よく聞こえないよ』
「だから、その頬に…」
『今から行くから待っててよ』
「…うん」


鈴村に電話を切られてしまい、俺はソワソワと待っている事しか出来なかった。

さっき鈴村と吉岡の2人と別れ、部屋に戻って来たは良いが、部屋に入って早々ベッドに倒れ込んだ新木に驚いて声をかけた。
眠かっただけのようで、心配することはなかったんだけど…その…なんというか…

まどろんでフワフワと喋る新木が可愛くて、布団をかけて頭を撫でたら衝動が押さえられなくなったというか…

白い肌に紅い頬、長い睫毛と色素の薄い髪、小さい口から覗く八重歯。新木の全てにクラクラきて、紅い柔らかそうな頬に引き寄せられるように唇をのせた。


「なるほど、見てたらムラムラして緋のほっぺにちゅーしたと」
「む、ムラムラって…」
「だってそうでしょ?」


部屋に来るなり話しを聞いて、純粋な瞳ですごい事言って問い詰めてくる鈴村が恐ろしい。真顔でじっと見てる吉岡もいやだ…


「青磁ってば緋と幼なじみで、9年越しの片思いなんでしょ? ちゅーと言わず、食べちゃうくらいの勢いで行けばいいのに」
「なな、な、な何言って…」
「さっきも頑張れって言ったのに、ヘタレだなぁもう」
「ヘタレって…!」
「うーん」
「「!?」」


唸り声をあげて寝返りをうった新木に思わず焦り、鈴村と顔を合わせて人差し指を口元にあてていた。

起きるかと思った…聞かれたらマズイ

布団をかけ直し、また頭を撫でていると、ニヤニヤと2人が見てくるので急いで新木から離れた。
部屋に呼んだのはもしかしたら失敗だったかもしれない…

鈴村と吉岡を帰してから俺もベッドに横になると、緊張による疲れが出たのか、そのまま睡魔に引き込まれていった。






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