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□本編
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カードを作って貰えなかった事と、学ランになった理由を説明すると、反応は色々だった。
浅野は「なんだそれ…」って呆れてて
紫音は「理事長と学園長がお爺様とお兄様とか、緋すごいねー」って驚いて
吉岡は「うんすげー」って楽しそうで
俺はなんかもう…落ち込んでる。

学ラン褒められて嬉しかったけど、よく考えたらこの先どうやって生活すんだよ…すげー目立ちまくりじゃんか!
友達出来なくなったらどうすんだよ!?

ベッドの上で体育座りしてこれからの事ぐるぐる考えてたら、浅野が隣に座って頭を撫でてくれた。


「あ、頭撫でられるの嫌だった?」
「ううん、さんきゅ」


慰めてくれたり、嫌かとわざわざ聞いてくれたり、浅野は本当に優しい。タメなのに俺ばっかこんなで、なんとなく恥ずかしくなって抱えた膝に顔を隠した。
やべ…顔赤いかも。
でも恥ずかしいけど嬉しかった。
なんか今日初めて会ったはずなのに、初めて会った気がしない。てか、こんなこと前にもあった?

思い出そうとしても思い出せなくてモヤモヤしたから、考えるのやめた。
難しい事考えるのって、苦手だ。


「とりあえず、これからどうしようか? 青磁なんか良い案ある?」
「一応、寮長には説明しておこうか」
「たしか真白先輩になったって聞いたよ」
「じゃあ着替えて行ってみるか」
「わかった、そしたら僕たち着替えて戻ってくるね! 灰斗行こっ」
「…ん」


寮長の真白先輩って人に会いに行くらしくて、吉岡と紫音は着替えに行った。
2人が戻って来るまでに俺達も着替えておかないとな。
適当に履き慣れたジーンズとTシャツを出して、脱いだ学ランをベッドに放った。


「新木、制服はハンガーにかけないと」
「あ、わりっ」


俺の脱ぎ散らかした制服を、ささっとハンガーにかける浅野は母さんみたいで、思わず笑ってしまいそうになった。


「どうかした?」
「んっなんでもねぇ、それより何で着替えたんだ?」
「学ランが先に目立ったら、寮長に説明して対策練る意味無くなるだろ?」
「あ、なるほど」


それって俺の為ってことか?
―ドクンッ

え、何だ今の…心臓痛い。
慌てて心臓の辺りをさすってみたけど、特になんともない。何だったんだよ。

またさすってみたり、トントン叩いてみたりしたけど、やっぱりなんともなかった。
いつの間にか紫音と吉岡が戻ってきてて、どうしたのって聞かれたから何でもねぇって笑ってごまかした。
本当に何だろー?


とりあえず支度が済んでから、4人で真白先輩のとこ行って、浅野が簡単に俺の事を説明した。
自分の事なのに人事みたいだ。


「ん、だいたいは分かった。お前が新木ね、俺はC寮棟寮長、2年の真白 柊耶(マシロ シュウヤ)出来る限りはサポートしてやっから、自らバラすようなヘマはすんなよ」
「お、おう…」
「先輩への返事は"はい"だ」
「はっ、はい!」
「それでいい」


にっと笑った先輩を見て、ちょっと厳しい人っぽいけど良い人だなって思った。
会う人みんな良い人ばっかりで、狙われる事なんかねぇんじゃないかって思う。本当にこんなカード狙う奴なんかが、この学園にいんのかな?

初日から色々ありすぎて、俺がなにしたら良いのかよくわかんねぇけど…
こんだけ周りが優しい奴ばっかなら、何があっても大丈夫な気がする。

俺達は真白先輩にお礼を言って、とりあえず部屋に戻る事にした。






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