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□本編
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昼飯を食い終わって、俺は早速カードを作って貰えるよう兄貴に頼みに行く事にした。
浅野と紫音が心配して付いて行くって言ってくれたけど、兄貴にひっ付かれる所なんて見られたくねぇから、大丈夫って言って1人で理事長室に向かった。
さっきもきたデッカイ扉をノックすると、中からどうぞーと声が聞こえてきた。
「しつれーします」
「「あか!」」
「…げ」
中に入るなり、兄貴とじじいのコンボ。
一緒に居たのかチクショウ。
2人が俺を取り合おうと、口喧嘩を始めた所でストップをかけた。
全く、いい迷惑だぜ。
浅野から聞いた話を説明して、カードを普通にしてくれって頼んだら、じじいが思いがけない事を言った。
「それは出来ん」
「なんで?」
「…敢えてゴールドカードを持つことで、周りの連中に狙われる中、臆せず逞しく三年間を過ごすのじゃ! 緋よ、成長せよ!」
「それ、どっからツッコんだら良いんだよ!?」
「…理事長、それは俺も反対です。あと話し方がむかつく」
俺がツッコミきれなくて困ってたら、兄貴が反論してくれた。
兄貴とじじいの趣味って似てるから、てっきり賛成するかと思ったぜ。
「藍も反対するのー?」
「かわいこぶっても駄目、緋が危ないでしょう」
「だって逞しく…じゃあ、今からこのワシ特製の"学ラン"を着せるのはどうだ?」
「学ラン…だと!?」
…学ラン?
この学園ブレザーなのに、なんで学ランなんか…てか兄貴が食いついてねぇ?
「緋に学ランだぞー絶対かわいいぞー」
「あ、緋に学ラン………いいでしょう」
「いいのかよ!?」
「じゃあ早速」
「え、ちょ、じじい待てっうはは! っく、くすぐんの反則ーっ!!!」
俺の必死の抵抗も効かなくて、結局学ランに着替えさせられた。
2人がマイカメラを取りに行ってる間に逃げたのは言うまでもない。
やっぱ趣味似てやがった!!
つーか、結局カードは作って貰えねぇし学ランだし、どうしろってんだよ!
バカじじいとバカ兄貴!
…とりあえずは浅野に報告しないとな。
なるべく人目を避けて、こっそり寮の部屋まで戻ってきた。
中に入ると靴が3足。
紫音と吉岡が部屋に来てるらしい。
靴を脱いで中に入ると、3人ともこっちを見て驚いてた。そらそーだ。カード作りに行って学ランで帰ってきてんだもん。
俺だって驚いてんぜ。
しばらくポカンとしてた3人だけど、紫音が目の色を変えて迫ってきた。
「緋かっこいいねぇ!」
「学ランいいな…」
「え、まじで!? 俺かっこいい!?」
「うん! かっこいい!」
「で、新木それどうしたの?」
はしゃぐ紫音や羨ましがる吉岡につられて俺もつい喜んでたら、浅野が冷静に説明を求めてきた。
なんだ、つまんねぇなぁ。
「浅野は感想ないのかよー」
「えっあっかわ…かっこいいよ」
俺が口を尖らせると、慌てながら感想を言ってくれた。
ちょっと無理矢理言わせた感があるけど、かっこいいって言われんのは気持ちいい。
さんきゅとお礼を言って、俺は理事長室であった事を話した。
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