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□本編
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「いつまで笑ってんだよぉ」
「ごめんごめん」


新木くん面白い、といつまでも笑う浅野をじっと睨んで言ってみれば、やっと笑うのをやめて謝ってくれた。


「つーかさ、俺のこと呼び捨てでいいよ?」
「わかった、くんとかちゃん付け昔から嫌いだもんな?」
「そーなんだよ! だから新木でも緋でも適当に呼んでくれよな!」
「じゃあ新木で」


やっぱ名前は呼び捨てがいいよな、仲良いって感じするし!
しかもちゃん付くと「赤ちゃん」って呼ばれてるみたいで嫌だし。
そういえば、小さい頃はよくそれでケンカしたことあった気がする…

とりあえず、俺が浅野の呼び捨てに満足していると、浅野本人は俺の隣で「はぁ」とため息をついていた。
急にため息をつくから、どうしたのかと聞こうとしたところで

ぐぅ〜きゅるるるる

「あ…」
「もう1時か、そりゃ腹も減るよな」
「う、ごめん」
「じゃあ学食行こうか、いろいろあるよ」
「おぉ! いくいく!」


腹が鳴った恥ずかしさと、荷物片付けの一仕事した後の空腹感とで、俺は浅野のため息のことをすっかり忘れてしまった。





浅野の後について行って、寮と校舎を繋ぐ建物の1階に学食スペースがあることを教えてもらった。
ちなみに、学食は朝昼晩いつでも食えて、2階には購買があるらしい。

今まで給食と母さんの弁当しか食ったことがない俺は、初めての学食が楽しみで仕方なかった。
何が食えんのかワクワクしながら歩いてると、急に後ろから名前を呼ばれた。


「あ、緋くんだ!」
「…へ?」


振り返るとニコニコした奴と、オレンジ頭の奴が俺の事を見下ろしてた。
それに気付いた浅野が声をかけた。


「鈴村と吉岡」
「青磁ばっかりずるいよー僕も緋くんとおしゃべりしたいっ」
「だって俺同室だもん」
「いーなー、でも良かったね、前から話してたもんね」
「覚えてないみたいだけどな」
「あれ、そうなの?」


えーと…完璧に俺は眼中にないみたいだ。
困って2人を見てたら、ぽんぽんと肩を叩かれた。
俺の肩を叩いたのはオレンジ頭の奴だった。


「ん?」
「俺、吉岡 灰斗(ヨシオカカイト)」
「お前吉岡ってんだ? 俺は」
「あー灰斗抜け駆け! 僕、鈴村 紫音(スズムラシオン)紫音って呼んでね」
「…吉岡と紫音な、俺、新木 緋! 俺も呼び捨てで良いよっ」
「うんっじゃあ緋よろしくね」
「よろしく!」


急に俺と吉岡の間に割り込んできた紫音にびっくりしたけど、ふわっと笑った顔を見て、お人形さんみたいだと思った。
紫音とニコニコしてたら、吉岡がまたぽんぽんと俺の肩を叩いた。
吉岡もよろしくって笑ってみたら、ずっと無表情だった吉岡がちょっとだけど笑った。
2人とも良い奴みたいだし、浅野も爽やかだし、こいつらともっと仲良くしたいって思った。
ここで初めて出来た友達だ!

あ、そういえば


「なぁ、紫音何で俺の名前知ってんの?」
「だって緋と同じクラスだもん! 灰斗も一緒だよ」
「そーなんだ! あ、じゃ一緒に飯食わねぇか? いいよね浅野っ」
「ん、みんなで食べよっか」


そういう訳で、紫音と吉岡も一緒に4人で飯を食うことになった。
早速仲良く出来て嬉しいな。
さってと、昼飯なに食おう!






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