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□本編
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兄貴は俺の頭を撫でながら、顔を見て笑った。
頭を撫でてくれる兄貴の手が気持ちいい。
モヤモヤわけわかんなくなってたのが落ち着くと、兄貴はそれを分かってるみたいに心配するなって言ってくれた。
…兄貴にはなんでもバレちゃうな。

昔から、俺が困ってる時にいろいろ助けてくれる兄貴を思い出して、今回もきっと大丈夫だろと思って笑い返してみた。

急に抱き着いてきた兄貴を思わず殴ったのは、まぁ仕方ない。





兄貴に挨拶も済んだし、俺は寮室に行くことにした。
送った荷物と持ってきた荷物は寮室に届けとくって、手続きとか色々じいちゃんがやってくれたから、その荷物を今日中に片付けてぇのに、ばか兄貴が「俺の部屋来い」ってうるせぇから、もっかい軽く殴ってやった。

仕方なさそうに寮に入ることを許してくれた兄貴にお礼を言って、寮室の前まで来たのは良いんだけど…

寮室って相部屋なんだよな、変な奴とかが相手だったらどうしよう。
そんな不安とか心配をしながら、部屋のインターホンに手を伸ばす。
表札に掛かってるのは、俺の名前と…


「あ、浅野…あお?」
「せいじだよ」
「青磁か! 読めねーなこの漢字…あれ?」


突然右上から聞こえた声に顔を上げると、背が高くてすげー爽やかそうな奴が、すげー爽やかな笑顔で立ってた。
ポカンと見つめていると、ソイツはくすっと笑って部屋のドアを開けた。


「新木くんだろ? 俺が浅野青磁(アサノセイジ)、相部屋1年間よろしくな」
「よ、よろしく!」
「中に荷物とどいてるよ」
「ありがとっ」


ドアを開けて「どうぞ」と浅野が俺を、先に中に入れてくれた。しかもドア押さえてくれてるし。
なんだこいつ、爽やかすぎる!

中に入ると部屋は思ってたより広くて、奥の両脇にベッドが1つずつ置いてある。
あとは机と小さい冷蔵庫に、流しとユニットバスもある。


「すげー! 思ってたより広いしキレーだ」
「ベッドの下が収納になってるから、そこに私物は入れられるよ、あと共同で使えるものがあれば一緒に使おうか。」


色々と部屋の説明をしてもらって、しかも荷物の片付けまで手伝ってもらった。
なんだこいつ、まじでいいやつ!

俺の荷物も全部片付いて、お互いに改めて自己紹介。


「浅野 青磁、わからないことは聞いてくれよな」
「俺、新木 緋これからよろしくな! まじで浅野が相部屋でよかったー、変な奴だったらどうしようかと思ったもん」
「俺は新木くんと同じ部屋になるの楽しみだったよ」


浅野は自己紹介が面白かったと、くすくす笑った。俺は自己紹介で叫んだのを思い出して、顔が熱くなった。


「あれは忘れろよ…」
「顔真っ赤だよ、かわい」
「かわいいって言うな!」


思わず浅野の話を切っちゃって、はっと我に返った。
そんな俺を見て、浅野はまたくすくす笑った。






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