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□本編
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「元じゃなくて現役ヤンキーだってよ、かち顔恐ぇもんな!」
「うっせ!」


クラスの連中が言ってた事が面白くて、笑いながら本人をからうと、ゴツンと頭蓋骨が割れるんじゃねぇかってくらいの音をたてて、頭にげんこつを落とされた。
まじ手加減ねぇ…


「い…ってぇぇ…」
「ったりめーだ痛くしてんだから」
「国語教師が、その言葉遣いと暴力って良いのかよ!」
「俺とお前の仲だろ、今更だ」


俺の担任 沢田 勝(サワダショウ)25歳。
実は俺の兄貴の同級生で、小さい頃からよく遊んで貰ってる。
なんつーの、幼なじみってやつ?
じいちゃんの学園で先生やってるとか知らなかったけど。びびった。


「それよかさー、なんで理事長室行くんだよ? 俺、じいちゃんには挨拶したよ?」
「あ? じいさんには用はねぇよ、学園長に会いに行くんだよ」
「…学園長?」


理事長室って言うから、てっきりじいちゃんに会いに行くのかと思った。
じいちゃんとは、朝に入寮手続きする時に久しぶりに会った。会うのって中3の夏休み以来だったかな?
なんか、相変わらずだった…


―――
「じいちゃん久しぶり!」
「おぉ緋ー元気にしてたか!」
「いて、痛いじいちゃん…離して」
「グランパって呼んでくれるまで離さないよー」
「ふざけんなじじいっ」
「なんだと! じじ不孝な! でも可愛いから許しちゃうかなー」
「髭がくすぐってぇよっ」
「うりうりうりー可愛いなぁ緋ー」
「はっ離せくそじじい!」
「くそ!? じじ不孝にはこうしてやる」
「うひゃっあ、あはっはははは、やめ、」
「謝るか?」
「ごめ、なさっ、ひゃっく、くすぐん、ないっでぇ! じいちゃぁはははははは!」
「んもー可愛いから許しちゃうぞー」
――


なんつうじじいだ。
普通じいさんが、高1の孫とこんな風に遊ぶか? じいちゃん若いけどさ…
てか兄貴達にしてるの見たことないし。
もう、思い出しただけで脇の下がむずむずしてきた…
腕をぎゅうっと抱きしめて顔をしかめてると、かちが「変なかお」と笑いながら遊ぶ様に頬を突いてきた。


「何すんだよー」
「変なかおしてっから突かれんだろ、ほら着いたぞ」


理事長室と書かれた札が下がる部屋の立派なドアを、かちがトントントントンと4回ノックすると、中からどうぞと声がかかった。なんかノック多くね?
不思議に思ってかちに聞こうと思ったら、早く入れって急かされて、仕方なく重いドアを押して中に入った。


「失礼しま」
「緋会いたかったよー!」
「ぶっ! あ、兄貴!?」


部屋に入るなり、タックルをかける勢いで抱きしめて来た犯人は、歳が10こ離れた実の兄、新木 藍(アラキアイ)26歳 本人だった。






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