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□本編
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こんこんと小さくノックすれば、中からはーいと二つの返事が返ってきた。


「おじゃまします…」
「あれ緋たん?」
「どしたの?」
「いや、ちょっと」


そういえば、双子の部屋に来たは良いけど、浅野の事バレたら駄目なんだった。
これじゃ説明できねぇや…どうしよ


「「大丈夫?」」
「あ、うん…」
「青磁とケンカでもしたかー?」
「それよかさっきの続きしよーぜ」


俺が悩んでると、2人は冗談ぽく笑ってゲームを出してきた。
こいつらのこーゆー所がすごく楽だ。
…普段はいじわるだけど。

早速ゲームをセットしてくれた涼に礼を言って、さっきの続きを始めた。
ゲームで盛り上がるうちに時間も浅野の事も忘れて、いつの間にか双子の部屋で眠ってしまっていた。





*****


「涼ー緋寝たよ、どうする?」
「とりあえず青磁に連絡するか」


ゲームをしながら眠ってしまった緋に流が布団をかけてやっていた。
流は優しいなぁ…そんな所がたまらなく好きだ。
なーんて余計な事を考えながら、ケータイを開いて青磁に連絡をする。


…青磁の野郎、ワンコールで出て「すぐ行く」って…ちょっと引くわー。
電話が切れたと思ったら、あっという間にノックが聞こえた。ドアを開ければもちろん青磁。


「お前…気持ち悪っ」
「はっひ、どいな…はぁ」


思ったままを言ってやれば、息を切らせながら反論をする。ヘタレのくせに、こういう行動力はあるんだな。
きっと緋が部屋出てから、ずっとソワソワしてたに違いない。
全く、それなら追いかけりゃいーのに。

部屋に通せば、緋の顔を見て安心したように溜め息をついた。


「でさ、何があったの?」
「それが俺にも良くわかんなくて…」
「何それ? 喧嘩じゃないの?」


詳しく話を聞けば、いきなり緋が部屋を飛び出したってしか考えられない。
たしかに部屋に来た時、何か挙動不審だったような…


「なんかさ、緋って青磁迎えに行ってから変じゃない?」
「あー確かに」
「迎え? 来てないけど?」
「「…あれ?」」
「そういえば、しーって」
「え、でも青磁から飯の連絡来たじゃん」
「あぁ、あれは新木が―」


また詳しく話を聞けば、青磁の部屋で物音がしたけど、青磁の部屋には誰も来てなかった。
そんで物音が気になって部屋出て歩いてたら、俺らの部屋の前に緋がいたと。


「物音がしたときさ、青磁達何の話してた?」
「特に何も喋ってなかったと思うけど」
「よく思い出して」
「うーん…あ、独り言なら言ったかも」
「なんて?」
「好きなのになぁって」
「…それだけ?」
「それだけ」


うーん、見当違いにも程がある。
緋の話を本人が聞いたのかと思ったけど、一言だけじゃ何が好きなのかもわからないだろ。

もしかして青磁のこと意識してる?
緋に限ってないか…でも、そうだとしたら?
もし意識してて、好きな人が居ると分かったら?
何となくだけど、変な言動の辻褄が合う。
確証があるわけではないけど、青磁がきょどってて可哀相だから話してみた。


「え、ま、まじでっ?」
「たぶんだって」
「まぁ緋って青磁の事嫌ってはないよね」
「それ駈達にも言われた…!」
「あとはお前の頑張り次第じゃないの?」


とりあえず精一杯(?)励まして、緋を連れ帰る青磁を見送った。

流がずっと二人を見てるから、流もお姫様抱っこされたい? って声を掛けたら、あほかって顔真っ赤にして怒られた。

…今度してやろう。






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