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□本編
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「駈はね」
「紫音が好きなんだよ」
「ふーん…え?」


内緒の話、聞き流しそうになったけど今なんて?
すきって言ったか?
え…まぁだとしたら俺にキレてた理由とかなんか分かるかもしれないけど、でも、それよりも先に…


「紫音は男だぞ?」
「「そんなの百も承知だよ」」
「えぇえ?」
「緋ってそういうの偏見あるの?」
「学生だいたいが初等部からエスカレーターで男だけだもん」
「「ここじゃ日常茶飯事だぜ?」」
「へ?」
「「それに俺らもだもんなー」」
「え、え…」


え? 話についていけてない…
それってえーと、テレビとかで最近やってるホモとかゲイとかおネェ系ってやつ?
偏見…ってなんだっけ、でもとりあえず、よくわかんない。
てか、男が男を好きになるってどんなかんじなんだ?

また無意識に独り言を言ってたみたいで、2人にすごくキョトンとされた。


「なっなんだよ! 俺べつに変なこと言ってねーだろ!」
「いやぁだって、キモいとか言われると思ってたし」
「普通はこういうのって、同性だし嫌悪するかなーって思うじゃん?」
「わかんないんだから仕方ないだろ、お前等の事べつに嫌いなわけじゃないんだし」
「「緋たーん!」」
「わっ重っ! 苦しい!」


ぱっと笑顔になったと思ったら、急に抱き着いて来た2人を支えきれなくて、ごろんと後ろに倒れ込んだ。
頭は打たなかったけど、背中がちょっと痛い…それに苦しい。

まだくっついてくる2人の下から出ようと思って動いてると、いきなりずるっと後ろに引き抜かれた。
すとん、と立たせて貰って、助けてくれたのは誰かと振り返ると、心配そうな顔の浅野が立ってた。


「新木、大丈夫か?」
「…うん」
「頭打たなかったか?」
「だいじょぶ、ちょっと背中痛ぇだけ」


浅野はよかったと溜息をつきながら、俺の背中を優しく撫でた。
心配性で世話焼きたがりで、やっぱり浅野は母さんみたい。
でも撫でてくれる手は全然母さんじゃなくて、なんかドキッとした。
兄貴にもよく撫でられるけど、兄貴とはなんか違う…なんだろう? まぁ家族じゃないんだから違ってトーゼンなんだけど。

なぁんかスッキリしなくって考えてたら、双子に変な顔って笑われた。


「全く、流と涼気をつけろよ? 新木が怪我するだろ」
「青磁は心配しすぎだろ」
「本当本当、心配性で過保護」
「「緋のこと大好きなんだから」」
「ばっ…! 心配するに決まってるだろ友達なんだから…!」


珍しく双子が浅野をいじってる。
だいたい双子が絡むのって、俺か上原だからなんか新鮮で面白い。
笑って3人の様子を見てたら、お前の話してんだぞって双子に責められた。

なんだよ、やっぱ俺に絡むのかよ。
もうちょっと浅野のこといじれば良いのにさ。

そういえば、上原と双子はそうなんだって知ったけど、浅野とか吉岡もすきな奴いるのかな?
いるんだったら協力したいし、どんな奴か見てみたいな!






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