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□本編
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なんで浅野は俺の制服なんかたたんでんだ? やめて貰わないと俺が困るし。(双子にからかわれて)

よく考えてみれば、今までにも何回か体育が終わった後、着替える時に脱ぎっぱなしの制服が綺麗だった気がする。
もしかして毎回浅野がたたんでた?
いやまさか、そんな毎回とか…いくらなんでもなぁ?

体育のランニング中、確かめる為に浅野に聞いてみると、浅野はうんと頷いた。


「な、なんで毎回たたんでんの…?」
「しわになると思って」
「それはさっきも聞いた! そうじゃなくて何で俺のだけ」
「まぁ、個人的に世話焼きたいっていうか、同室のよしみとかかな?」
「も、もうやんなくて良いからな! たたむなよ!?」


やっぱりたたんでたー! 世話焼きたいって、母さんじゃねぇんだから!
こんなに過保護な浅野見てると、母さんとかねーちゃん思い出す。困った。
何回も何回も念を押して、ゆびきりげんまんして、たたまないって浅野に約束させた。
浅野と話してる間、後ろから双子がずっと「お子様」とか「あかちゃん」とかうるさかった。
あの2人絶対たのしんでる…!くそーっ!


「流と涼うるさいっ」
「「だって本当のことだし」」
「お、俺がやらせた訳じゃない!」
「「どうかなー?」」


くっそムカつく! もう、絶対言わせねぇ!
…はずだったのに

授業が終わって着替えると、浅野はテキパキと俺の体操着をたたんでた…なんでだよ浅野のばかやろぉ

また上原には怒られるし、双子にはからかわれるし。
俺、自分でたためるように頑張る。
…たぶん





***





4限目の授業中、後ろの席の今泉(イマイズミ)にこそっと声をかけられた。


「緋くん」
「ん?」
「これ上原くんから」
「さんきゅ」


手渡されたのは、小さく折られたノートの切れ端。
中にはたぶん双子の字で「昼休み飯持って屋上」って書かれてた。
屋上行ったことないけど…てか屋上は立入禁止って、かちが言ってなかったっけ?
とりあえずノートをまた折って、前の席の浅野に回した。

授業が終わると同時に双子は教室を飛び出して行った。
俺は浅野達と購買で飯買ってから屋上に向かった。


「「遅かったじゃーん」」
「お前らが早いんだよ」


屋上へ続く薄暗い階段をのぼると、扉の前で双子が待ってた。
あれ、もしかして鍵かかってね?


「鍵かかってんじゃん」
「まーまー現実主義の駈兄さん」
「こっからが俺らの本領発揮だよ」


ツッコミを入れる上原に双子が軽く言い返したと思えば、本領発揮とポケットから何かを取り出した…ヘアピン?


「まさか、お前ら」
「「そう! 鍵開けちゃいます!」」
「犯ざもがっ」
「楽しそー! 駈は、しーだよ?」
「う、うん」


反論しようとした上原の口を、すかさず紫音がふさいで黙らせた…こいつ可愛い振りして何気に力強いんだよな。
運動神経も意外といい。
てか、上原も紫音の言うことは素直に聞くし。すげぇ仲良いんだなー?

そうこう騒いでるうちに、双子がヘアピンでピッキングをして、カチッと音をたてて南京錠があいた。






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