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□本編
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きんきょーほうこく!
なんとなく学校にも馴れてきて、広い学園内を迷子になったりしなくなった。
馴れるまでが大変だったけど…
迷子になった時は、浅野や紫音に連絡して迎えに来てもらってた。2人とも悪い。

それから最初は珍しがられた学ランも、寮長のおかげなのか特に何も言われなくなった。たまに「頑張れよ」とか、「見た目なんて気にするな!」とか声掛けられるんだけどなんでだろ? …まぁ学校生活には問題ないから、別にいっか。

クラスで友達も結構出来た!
たとえば…


「「あーか!」」
「うわっ」
「「さて今日はどっちがどっちだ!」」
「右が涼で左が流」
「「ちぇーツマンネ」」


この双子の速水 流(ハヤミ リュウ)と涼(リョウ)、初対面で自己紹介した次の日から、このどっちがどっちか当てるクイズを出してくる。
一卵性でそっくりなのに、髪型も服も一緒だから見分けにくいんだけど、今のところは全問正解。

双子はそれが悔しいらしくて、俺が間違えるまで頑張るって、毎日どころか1日に何回もしてくる。ちょっと…うざい。


「なんで間違えないかなー」
「俺らの事どこで見分けてんの?」
「…なんとなく?」


俺だってよくわからないけど、なんでか毎回当たるんだよな。実は俺ってば超能力者かも!


「んな訳ないだろ」
「わっ、なんだよ上原か」
「さっきから独り言ブツブツうるせぇよ」
「え、俺喋ってた?」
「ばっちり」


こいつは上原 駈(ウエハラ カケル)、頭が良くて色々助けてくれてる。
あ、双子も上原も俺の事情は知ってる。

双子は学ランの事すげー聞いてきて、俺が困ってたら浅野が上手く説明してくれた。
上原は俺が荷物をばらまいちゃって、拾うの手伝ってくれた時にカード見られて、その時も浅野が上手く説明してくれた。

浅野ばっかり説明してんな…

まぁそれ以来、双子も上原もなにかと俺の事気にかけてくれてるみたい。
上原なんかは落とし物すんなとか、身元バレる物は内ポケに入れろだとか、色々アドバイスくれる。
怒るとこえーけど良い奴!


「緋ー今日1限体育だよー」
「お! 紫音さんきゅ」
「いいえー」
「新木ぃぃぃ」
「なんだよ上原! お前、また顔恐いぞ!」
「俺への嫌がらせか? 毎日毎日」
「だから何の事だよ?」
「無自覚なのがムカつく!」


キレるタイミングがいまいちわかんねぇんだよな。俺今なんも言ってないよな?
まぁいいや、とりあえず体育だから着替えねぇと。

ロッカーから体操着を出して、ぱぱっと着替える。今日は体育何やんのかなー

だいたい着替えが早いのが俺と吉岡と双子で、上原は紫音待ち、浅野は…


「おい新木、青磁に服たたませてんなよ」
「え?」


上原に声を掛けられて浅野を見れば、俺が脱ぎっぱなしにしてた制服をせっせとたたんでた。


「わっ浅野、そのまんまでいーのに!」
「いや、しわになるかと思って」
「しわしわだって大丈夫だってば」
「「全く、緋はお子様だなー」」


いつもなら怒る単語も、今日は怒れなかった。
浅野は俺に対して過保護すぎなんだよーっ

体育の授業は毎回1番乗りの俺だけど、今日だけは1番最後だった…






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