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□短編
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ピピピ
ジリリリッ
ピョッピョッ
チャラララ
カンカンカン
「んーっ」
「涼そっち止めて…」
「あいよ」
「「…おはよ」」
俺らの朝は5つの目覚ましで始まる。
2つずつ消してから最後の1つを2人でとめるのが約束。
それから…
「りゅ、おはよのちゅーは?」
「ん」
「あーかぁわいい」
「可愛いって、同じ顔じゃん」
「違うよかわいい」
朝のキスも毎日の習慣。
俺らがちゃんと付き合い始めてからだから、中1の夏からかな。
もうずっとしてるのに、今だにちょっと照れてる流はすげーかわいい。
あ、俺涼の方だよ、わかってた?
外見がそっくりな俺らは、親だって見分けられない。それに親とはもうだいぶ会ってないし。
普段つるんでるやつらも、俺らがいたずらすればわからない。
でも緋だけは、服装変えても、髪型変えてもバレるから、なんとなくつまらない。流もそう思ってるみたいで、今の俺らの目標は緋に間違えさせること。
ぜってぇいつか、間違えさせる!
「ってことで今日は髪型を別々にセットしよう」
「え、それって逆に見分けつくじゃん」
「そう、それで見分けを付けさせといて、休み時間に髪型入れ替えんの」
「涼あったまいー!」
「だろー?」
さっそく張り切ってセット。
入れ替えやすいように俺がヘアバンでオールバック、流がピンで横分けにすることにした。
やべー楽しみ! 緋の反応を2人でワクワクしながら、朝飯を食いに食堂に向かった。
「「おーはよー緋たーん!」」
「はよ、朝からテンション高いな!」
「「今日はどっちだ!」」
「んっと、ピンしてんのが流で、あげてんのが涼だろ」
「あたり…」
「なんでわかんの?」
「えー勘?」
しれっと答えやがった…くそう、野性の小動物め…
でも本番はここから、昼休みが決戦の時!
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「たまには違う髪型も似合うっしょー」
「涼に似合うなら俺にも似合うよねっ」
午前中の教室で、これでもかという程に俺達が違う事をアピールした。
そして待ちに待った昼休み!
4限が体育だったから、さっさか着替えて屋上へ向かう。
緋はジャージ畳んでるし、紫音は着替えるのが遅い。青磁と灰斗と駈は2人待ち。
「「計画完璧…!」」
屋上に着いて、急いで互いの見た目を交換する。
髪型だけじゃなくて、セーターと上履きまで入れ換える程徹底した。まぁ流石にズボンとシャツは無理だったけど。
準備が万端整ったところで、屋上のドアが開いた。
「ごめん遅くなったー」
「「待ってたよ!」」
「あれ?」
「緋たんは?」
「緋なら沢田せんせーに呼び出しだよぉ」
「「なーんだ」」
なんか気合いがから回っちゃったな。
ま、いいや。緋が来るまでにバレないように大人しくしてよう。
いつ来るかわからない緋を、昼飯を食べて待つことにした。
あ、先食べたら緋怒るかな?
それはそれで面白そうだけど。
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