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□短編
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ある日の昼休み。
俺の担任する1年Cクラス。
その副担任をしている数学教師の高野先生から、クラスでの配布プリントを作成するから手伝って欲しいと言われ、数学準備室までやってきた。
しかし、プリントって何のプリントだろうか。

軽くドアをノックすると、俺のちょっと苦手なタイプ…インテリ眼鏡のひょろりとした男、高野 学(タカノ マナブ)本人がドアを開けた。


「ああ沢田先生、待ってましたよ」
「どーも」


中に通され、こざっぱりした部屋の奥にあるソファーへ腰を下ろす。
早速プリントの事を尋ねると、まぁ珈琲でもと、やんわり会話を切られた。
20分後には藍の所に行かないとなんねぇから、なるべく早く済ませたいんだけど…付き合いもあるから仕方ないかと出された珈琲に口を付けた。



*****



あれ、俺いつの間に寝て…?

重たい瞼を薄く開くと、遠くに天井が見える。
体を起こそうと手を着こうとするが、腕が動かない。
どうしたかと寝起きで回らない頭で考えながら動かない腕を見てみると、両手首がネクタイで固定されていた。
しかも3本も使って。


「!? っ! ―んっ!?」
「あ、起きられましたか?」


口枷までされ声が出ない事に驚いていると、頭上からさっきまで聞いていた声が聞こえた。
先生はいつもの無表情とは違い、口元に薄ら笑いを浮かべてこちらの様子を伺っていた。
どういうことか現在の状況に全くついていけず、ただ目の前の先生を睨み付け、何故俺を拘束するのか皆目見当のつかない答えを探る事しか出来ないでいた。


「何故こんなことになっているのか、わからないといった様子ですね」
「…っ!」
「口枷だけ外して差し上げますよ」
「っぷぁ、何しやがんだコノヤロウ!」
「あぁ、良いですねその目、あなたのその鋭い目付きが甘く溶ける様を見たい…」
「………」


変態だ!!!
今の高野を一言で表すなら"うっとり"が一番しっくりくる。
それほどヤバイってことだ。
陶酔してやがる。
どれだけ罵倒しても、今の高野はうっとりとして「溶かしたい」と呟くだけだった。

必死で逃げようともがいてみるが、腕の拘束はとれない。ならば起き上がろうと腹筋に力を込めると、起き上がるより早く腹に乗られてしまった。
これってかなりまずいんじゃないか?

高野は俺が動けないのを良い事に、Yシャツの上から体を撫でてきた。その感触に嫌悪感と恐怖感を覚え、背筋がぞくっと震えた。


「おや、感じてるんですか? かわいらしいですね」
「ふざけんな! 気持ち悪ぃんだよ!」


思わず叫んでからしまったと思った。
そんな俺の様子を見て高野はクスッと喉で笑い、首へ手を伸ばしてきた。
首を絞められると思い、反射的に目をつむると、襟元を掴まれる感触。
恐る恐る目を開けると、高野と目が合った瞬間Yシャツを引き裂かれた。

ブチブチと糸が切れボタンが弾け、床に転がる音が遠くに聞こえた。






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