駄文

□眼鏡越しの憂鬱
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サスケと付き合うようになって一ヶ月。
多分こういう事になるだろうなぁと予想はしてた。
してはいたけど…


「あんた、本当に団扇君と付き合ってんの?」
「…えぇ、まぁ。」
「本当に??」
「…ホントです。」
「信じられない。すっごい不釣り合いじゃないのよ。」


ピシッ…


こめかみに青筋が走る。

『同じ事言われたの今日で3回目だってばよ…』


サスケの目が光っている事もあって、女生徒達はナルトに嫌がらせなどはしてこないのだが。

その代わり、毎日の様に続いている「確認」。

サスケの目の届かない校舎裏やゴミ捨て場にこっそりナルトを呼び出して。

本当なの?
嘘なんでしょ?


尋問ですか?これはっ!


同じ人間が2回も呼び出してきた時には、もう脱力するしかなかった。

そして必ず最後にナルトに向けて吐かれる台詞。

「不釣り合い」


確かに美形のサスケの横に並ぶには、自分は平凡過ぎるかもしれない。

だけど、こうも毎回馬鹿にするような物言いに流石のナルトも頭にきている訳で。

どうにか文句を垂れる輩を見返してやりたい。

近頃そう思うようになった。


「サクラちゃん、私悔しいってば。」

昼休み、芝生に座りパンをかじりながらナルトはサクラに相談していた。

「あら。ナルトにしては珍しく闘争心に溢れてるじゃない?」
「だっていっつも『不釣り合い』なんだもん!一度くらい『お似合いよね〜』とか言われてみたいってばよ!」

もとは可愛いんだから、不釣り合いじゃないと思うんだけどなぁ。
サクラは腕組みしながらナルトをジッと見据える。

「ナルト。その眼鏡のせいなんじゃないの?」
「え?」
「ちょっとレンズが分厚いから、せっかくの大きな瞳がちっちゃく見えるのよ。」
「そうなの?でも、サスケはこの眼鏡似合ってるから外すなって言うんだってばよ?」

サスケ君…
上手いこと言いくるめたわね。

「ナルトはコンタクト持ってる?」
「あ、うん。家に使い捨てのやつなら。」
「明日、それはめてきなさいね。それからその上に結んだ二つの髪の毛も下ろして、サイドだけ後ろに纏めるのよ。」
「髪の毛も?」
「そう。それだけで随分周りの反応は変わるはずだわ。」
「うん、解った!やってみる!サクラちゃん教えてくれてありがと!」


嬉しそうにパンを頬張るナルトを見つつ、サクラは内心ほくそ笑んだ。


たまにはサスケ君も焦りなさい。


サスケの自己満足の為にナルトだけが悩むなんて不公平だ。
サクラは明日のサスケの反応が楽しみになるのだった。
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