魔法使いとお姫様
□魔法使いとお姫様
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ここはあなたが住んでいる世界とはまた別の世界・・・
この世界では一つの国にひとりの魔法使いが暮らしています。
空に浮かぶ“魔法の国”で、一人前の修行を終えた成人の魔法使いたちが各国に派遣され、その国の平和と安全を守っているのです。
最近一人前の魔法使いになったルーンも、自分の担当する国が決まり、そこへ引っ越すことを楽しみにしていました。
でも、いざその国に引っ越してみると、とてもがっかりしてしまうのでした。
なぜなら、この国の住民たちは誰も魔法使いの力を必要としていなかったからです。
というのも、この国の国王が大変聡明な方で人気もあり、彼のおかげで国は平和を保てているので、魔法使いの力を借りる必要はないのです。
そんな中でも、唯一ルーンを必要としてくれる人物がいました。
その人物とは、国王の一人娘であるジュリア姫です。
ジュリア姫はルーンが国王に挨拶に来た時、一目で彼の魔法を気に入りました。
この国に来て、自分を無力に感じていたリックですが、ジュリア姫が母親を亡くしていると聞き、自分を必要としてくれる彼女のために魔法を使おうと決めたのでした。
ジュリア姫が今年で10歳になります。
その誕生日パーティが開催される前日、ジュリア姫はルーンを呼び出して言いました。